【1日目】Osaka Music DAYS!!!レポ【全バンドまとめ】

本記事では、2020年8月8日〜9日の2日間にわたって開催されたOMD1日目についてまとめたいと思います。行けなかった方にも、コロナ対策に奮闘する音楽界で、主催者・スタッフ・出演者含め、前を向いて踏ん張る大人たちの姿が伝わりますように。

もくじ

1.はじめに
2.開場〜開演

3.ハルカミライ
4.ヤバイTシャツ屋さん
5.Hump Back
6.ROTTENGRAFFTY
7.打首獄門同好会
8.サンボマスター
9.10-FEET

10.まとめ

□1.はじめに

コロナ禍のなか、音楽好きの間で、ライブに行く派と行かない派が分かれています。行かない派からすると「我慢した私が正しいはずなのに、なんでこんなに歯がゆい気持ちにならなきゃいけないの?」という気持ちになると思います。その決断も、思いも全部正しい。でも、行く派もまた危険を承知の上で覚悟して決断しています。そしてしっかり対策も。ライブを全く無くしてしまってはコロナにならなくても心で死んでいく人がいる。文化の火が消えていく。だから、対策しながらできる範囲で開催して、それぞれの意志で我慢するのか行くのかを決断していくそれしかないと思います。行ったあなたも行かなかったあなたも、どちらも正しいと思います。筆者は行く判断をしましたが、行かなかった人にもこの日のことが少しでも伝わればいいなと思って文字にしています。良かったら、お付き合いください。

□2.入場~開演

コロナ対策の話

入場待機列の地面には足のマークがついていて、間隔をあけて並ぶよう指示があり、手指のアルコール消毒と検温をして入場する。入場時には、電子チケットの目視の他に、事前にネットで登録した問診票と、大阪コロナ追跡システムの登録完了メールの目視がある。そして入場後は携帯用のアルコールスプレーが1人1個配布され、こまめに各自でアルコール消毒するよう指示がある。スタッフさんはマスクに加えてフェイスシールド。暑いだろうに、鬱陶しいだろうに、このイベントの成功のためにやってくれている。アルコールスプレーだって、来場者分を用意するのは大変だったのではないだろうか。筆者の職場では、在庫切れでアルコールスプレーが手に入らず苦労した。イベントやフェスは、大勢の大人たちが、人々を楽しませるために色んな工夫をしているのが見えるから好きだ。ただでさえ好きなのに、こんなにしっかりとコロナ対策をしているのを見てしまっては、泣かずにはいられない。努力の結晶みたいなイベントだと思った。
キュウソネコカミの話

入場して、席までホール内を歩く。ホール独特のくぐもった音にまた、泣きそうになる。ライブハウスとも、映画館とも違う、この独特な雰囲気が懐かしい。
そして、筆者の涙腺を刺激したのは、会場内にキュウソネコカミの音楽が流れていたこと。この日は、キュウソのボーカルであるセイヤさんが、風邪症状があるということで出演キャンセルとなっていた。筆者はキュウソが大好きで、一番見たかったバンドだったので、残念であり心配だったが、会場内に流れるその音楽に救われた気がした。キュウソの出演キャンセルに合わせて、開場時間を遅らせた方が良いのではないかと思っていたが、主催者側はこれがしたかったのかもしれない。キュウソが鳴っているなら、もっと早く入場しておいても良かったのかもしれないと思った。キュウソを流すその心意気に元気をもらった

□3.ハルカミライ

セトリ

1.PEAK'D YELLOW
2.君にしか
3.ファイト
4.俺達が呼んでいる
5.夏のまほろ
6.THE BAND STAR
7.世界を終わらせて
8.アストロビスタ
リハは無し。「PEAK'D YELLOW」から始まる。コロナ禍のなか「明るい場所を探し望んでる」という歌詞が、ライブを待ち望んでいる自分に重なるようで、何度も聴いた曲だった。この曲から始まることが、その思いが重なった気がして嬉しかった。「君にしか」は、1人1人に向けて歌うために、この街に来てくれたことがずっしりと伝わった。「ファイト!!」は、この曲だと分かった瞬間に客席から一斉にあがった拳が眩しかった。ライブがなくなって、嫌なやつをぶっ飛ばしてくれるバンドマンに会えなくて、溜め込んできたフラストレーションが爆発した瞬間だったように思う。「夏のまほろ」は、失いそうになった夏を取り戻してくれる演奏だった。「THE BAND STAR」はスターが目の前にいることを感じながら聴いた。最後の2曲は優しい歌。つらいことも全部包みこんでくれた気がした。

MCは「大合唱って煽っちゃいけないんだって。俺のうまい歌きいていってよ」という学さんの言葉が自信に満ちていて最高だった。大合唱もしたいけど、聴くだけで力を与える歌声を彼は持ってる。もうひとつ、好きなMCがあって、「俺の目標、優しいだけの人間にならない。今日もでてるあのバンドのあの人みたいにかっけえ人になる。そんで、人をゆるして自分もゆるす。もう、責めなくていいよね。最前列で京都大作戦のTシャツ着て、そうゆうのいいじゃん。」という言葉。コロナ禍のなかでライブをやること、ライブに行くことは悪にもなる。そこに一石を投じる言葉だったと思う。行くのも行かないのもどちらも正しいし、責めるのはやめたいと、私も思う。それから、最後の曲は、「眠れない夜にあたしテンフィートを聴くのさ」という歌詞に差し替えられていた。学さんの目指すかっこいい人は彼らなんだろうな。「眠れない夜、俺は曲つくったりしてた!みんなそれぞれのやり方で乗り越えていこうぜ!」という言葉も曲中に叫んでいた。音も、歌も、言葉も優しかった。ああ、つらくなったらハルカミライを聴こう。

□4.ヤバイTシャツ屋さん

セトリ

リハ
1.家(キュウソネコカミ)
2.とりあえず噛む
3.はたちのうた
4.ウェイウェイ大学生

本編
1.あつまれ!パーティーピーポー
2.かわE
3.Tank-top of the world
4.癒着☆NIGHT
5.ヤバみ
6.ハッピーウェディング前ソング
リハ1曲目は、キュウソの「家」出演できなくなってしまった彼らの想いを汲むかのような1曲目に涙腺が緩んだ。演奏した本人たちは、「1曲目に平気でひとの曲やる(笑)」と言って茶化していたが、ネタにとどまらない愛のあるパフォーマンスだということは両者のファンならすぐに分かる。おもろくてあたたかいところがこのバンドの魅力だと思う。

本編はセトリのとおり、テンション爆上げソングのオンパレード。普段のフェスなら、ここでダイブ多発やなとか、ここはサークルつくるとこやなとか、思うシーンがたくさんあって、懐かしくなった。ワンマンには行けていないけど、フェスでたくさん見てきたバンドなので、筆者にとってはフェスを象徴するバンド。今年は夏フェスに行けない気がするけど、ここで少し味わえた気がした。あと、曲始まりで、こやまさんが「かわE〜!!!」と曲名を叫んで曲席側を指さす仕草、あれが嬉しかった。あの瞬間に、この曲きた〜!!!みたいなかんじで客席が沸く、その光景が大好きだ。

MCでは、「元気でた?元気でた???」と確認するこやまさんに元気がでた。ヤバTって、一言であらわすと「げんきいっぱい」なイメージがある。そして人に元気を与えるプロだとも思う。発声や接触行為ができなくとも、その場で踊り狂える音楽だと感じた。まるで、げんきがでる栄養剤みたいだ。

□5.Hump Back

セトリ

リハ
1.高速道路にて
2.オレンジ

本編
1.月まで
2.クジラ
3.拝啓、少年よ
4.ティーンエイジサンセット
5.また会う日まで
久々に聴く萌々子さんの生歌は、声が綺麗にまっすぐ届いて、すごく心地よかった。「拝啓、少年よ」の前のMCで語られた、「卒業式がなくなったり、入学式がリモートになったり、友達に会えなかったり、恋人に会えなかったり、家族すら会えなくて、どうしようもない日々やけど、青春がどっかいってしまったなんて間違っても思わんといて。」という言葉が印象的だった。「青春はここにある!!!」「青春を歌いにきた!!!」と叫ぶ姿が最高に泥臭くて、ガールズバンドなのにこういう骨のあるところが本当にかっこいいと思った。夢を、青春を歌う彼女たちがいてくれて良かった。「馬鹿みたいに空が綺麗だぜ」の部分を青い空を見上げながら聴ける夏フェスが恋しくなった。最後の曲は、「また会う日までの魔法を」という歌詞が優しく歌われた。みんなのつらさに寄り添って、魔法をここでかけておくから、また会おうねと約束してくれているようなかんじがした。行けなかったあなたも、今なら、この曲を流せば、一緒に魔法にかかるんじゃないかな。

□6.ROTTENGRAFFTY

セトリ

1.金色グラフティー
2.相殺微量サイレンス
3.THIS WORLD
4.「70cm四方の窓辺」
5.ハレルヤ
入場のSEが鳴ると、ファンがロットンのタオルを掲げ始める。飛沫がとぶ可能性がある関係で、タオルを振り回すのは禁止されていたが、真上に掲げることならできる。発声も接触行為もできないファンに残された応援の仕方だった。ライブが始まると、とにかく熱量がすごい。その場で頭を振ったりステップを踏んだりしている人が多くて、抑えきれていない興奮が見てわかる。MCでは、「こんな状態でお前らと会いたくなかった。でも、これが今後のための1歩になったらいい。」と語られた。このイベントから感染者の集団が出れば、やっぱり駄目だったじゃないかと言われてしまうだろうが、感染者を出すことなく成功させれば、これは大規模イベントの成功例となり、今後に繋がっていく。そこにかけている彼らのアツい想いを感じた。

□7.打首獄門同好会

セトリ

リハ
1.ヤキトリズム
2.島国DNA

本編
1. 88
2. 筋肉マイフレンド
3. きのこたけのこ戦争
4. 日本の米は世界一
5. 明日の計画
夕方になってきたこのタイミングで、このリハのセトリ。めちゃくちゃお腹すかされた。(笑)本編は8月8日にちなんで八十八ヶ所巡礼の衣装で登場。「筋肉マイフレンド」では発声と接触行為ができないなら、ということでまさかのスクワットの指示。上下運動がくるとは思わんやんね(笑)密を避けるために上下左右が空席になっているので、やりやすくはあります(笑)なんとかして楽しいことを、と考えてくるのが、さすが打首というかんじ。「きのこたけのこ戦争」は、もちろんWODなんてできないけど、ジェスチャーでみんな頑張っておりました。(笑)打首のライブで見れる、ノリノリで楽しむ大人たちのつくる光景が大好きなので、久々に見れて嬉しかったです。

□8.サンボマスター

セトリ

1.ロックンロールイズノットデッド
2.忘れないで 忘れないで
3.できっこないをやらなくちゃ
4.輝きだして走ってく
5.世界はそれを愛と呼ぶんだぜ
1曲目にこの曲を持ってきた時点で泣ける。カウントダウンジャパンでこの曲を聴いたときは、その年に亡くなった音楽関係者への追悼のように聴こえたが、今回はロックンロールへの信頼を歌っているように聴こえた。コロナ禍でライブが思うように開催できなくなっても、ロックンロールは死なないし、死なせやしないという叫びに思えた。今この曲を歌ってくれることが本当に心強い。2曲目は「キミよこの世からいなくならないで」という歌詞が印象的だった。コロナだけでなく、芸能人の自殺も悲しみを広げている今、必要な曲だと思う。行けなかった人も、YouTubeやサブスクにあるので、この曲をどうか再生してほしい。というか、今回のセトリはどれも今聴いて欲しい曲ばかりだった。プレイリストを作ってみんな再生してほしい。今こそおしゃれなバンドじゃなくて、日本語の真っ直ぐな言葉が、心にそのまま、分かりやすく届く、このバンドを聴いて欲しい

□9.10-FEET

セトリ

1.RIVER
2.ハローフィクサー
3.その向こうへ
4.蜃気楼
5.ヒトリセカイ
6.CHERRY BLOSSOM
ロットンのときと同じく、入場時にタオルが掲げられる。そのタオルの数や京都大作戦の服装をしたファンの多さから、ファンがいかに彼らを待ちわびていたかが分かる。曲中に、発声ができない私たちに代わって、「お前らの声めっちゃ聴こえてる!!!」と叫ぶ姿がかっこよかった。騒げない状態であるつらさをよく分かっていて、それをちゃんと言葉にしてくれるところがさすがだ。ファンの目線に立てるバンドだと思った。フェス等で彼らのライブを見るとファンとの関係性が出来上がっていていつも圧倒される。MCも「サンボマスターの山ちゃんとロットンのライブを見て、もう締まったな、俺らいらんのちゃうか?新福菜館行こか。」と話していたことや、「それでは聴いてください、2回目の初恋。」と言って変なコードを鳴らして「ないやんそんな曲!」とメンバーから突っ込みが入ったり、観客を笑わせるものが多かった。彼らにとってファンは友達みたいな、仲間みたいなそういう存在なのかもしれない。あたたかい空気がそこにあった。最後の曲は春に向けられた歌。コロナを越えたい。

□10.まとめ

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。筆者はキュウソ、ハルカミライ、ヤバT、サンボマスターのファンなので、バンドによって感想の熱量に少し差があるかもしれませんが、全部ひっくるめて、最高の一日だったと思います。ファンじゃなくても、ファンの人たちの反応を見るだけで嬉しい気持ちが伝染してきます。大規模イベントの良いところは、こういうところだと思います。いろんなバンドのファンがいて、それぞれテンションがMAXになるタイミングが違って、でも全部含めて楽しくて。楽しいとか、好きとか、そういうポジティブな気持ちが溢れるこの場所が、やっぱり必要だと思いました

いろんな考え方や気持ちが交錯する時期ですが、全く機会がないのではなく、「行く」「行かない」の選択肢があってほしいと思います。必要な人に、必要な音楽が届くように、必要な景色が届くように、このイベントの成功と、このイベントが今後のイベントに繋がっていくことを願っています。

主催した音楽関係者の皆さんに心からの敬意を。

〇音楽好き同士良かったらつながりましょう♪

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