滋賀県ロックバンド「街人」が2021年4月16日のラストライブをもって、解散しました。私が愛したバンドの話を残します。ラストツアーの名古屋＆滋賀公演とラストライブの渋谷公演のライブレポです。

もくじ

1.街人との出会い
2.ラストツアー名古屋レポ
3.ラストツアー滋賀レポ
4.ラストライブレポ
5.そして生活はつづく

□1.街人との出会い

YouTubeでコニカのMVを見つけたのが、街人との出会いでした。かっこいいバンド、おもしろいバンドとたくさん出会ってきましたが、街人と出会ったとき、「こんなにも気持ちに寄り添ってくれるバンドがいるのか」と驚きました。

コニカは、音も、声も、歌詞も、必死だった私の心を撫でてくれた歌です。退勤して、電車に乗って、駅から家まで歩くときに聴いて、ともさんの「おやすみ」を聴くのが日課でした。愛知に住んでいたので、アポロベイスでライブを見るのが多かったです。

そして知らされたバンドの解散。ラストツアーとなる「上を向いて歩こうツアー」が解禁となりました。このとき、私は退職が決まっていて、愛知から、京都の実家に寄り、東京へ転居する予定がありました。ラストツアーの名古屋公演のときには愛知にいる、滋賀公演なら実家から行ける、ラストライブの渋谷のときには東京に転居しているから行ける、とすぐに頭の中で予定を組み、行けるだけ、行こうと思いました。

そんな私がラストツアーで受け取ったものを、ここに残します。

□2.ラストツアー名古屋レポ

最初に行ったのは名古屋公演です。思い出深いアポロベイスで、対バンはosageでした。

osageが先発で演奏で、私は後ろの方で見ていたのですが、街人のともさんも、端の方で見ていました。すっごく楽しそうで、嬉しそうで、彼らの音楽が大好きなんだろうなと思いました。でらロックでもそういうともさんの姿を見たことがあったので（あぁ、ともさんだなぁ）と思いました。

そして、osageの出番が終わりに差し掛かったとき、「なんで辞めちゃうんだよ」と言ってメンバーの一人が泣き出したのが印象的でした。泣きながらギターを掻き鳴らす姿が目に焼き付いています。ファンの知らない、たくさんの思い出が街人との間にあるんだろうなと思いました。優しいバンドは、優しいバンドを引き寄せますね。

そして、osageの出番が終わり、街人が登場しました。決意を感じる、凛々しいライブでした。ただ、「イヤホンで会おう」という言葉に、（イヤホンでしか会えなくなるんだな）と思いました。「寂しくなったら、osageに会いに行ってね」という言葉に、（俺たちに、とは言ってくれないんだな）と思いました。どこか現実味のなかった解散という事実を、じわじわと実感させられたライブでした。

曲と曲の間、静かになると、会場内にすすり泣くファンの声が聴こえて、街人がいかに愛されているバンドであるかを痛感しました。

そしてこの日、特に印象に残ったのは、ポラリスという曲でした。閉店が決まっているアポロベイスで、ライブハウスを歌った曲を歌うこと、そしてバンド自体も解散してしまうこと、いろんな要素が重なった、幻みたいな時間でした。

街人セトリ

1.ホップとロックとわたし
2.ロックバンドになって
3.きれいごと
4.SOS
5.怪獣
6.北極星－ポラリス－
7.東京
8.24
9.コニカ
アンコール
10.she
11.sayonara

□3.ラストツアー滋賀レポ

次に行ったのは滋賀公演です。滋賀バンド好きには馴染み深いB-FLATで、対バンはLEODRAT。

LEODRATが先発で、観客を楽しませたいという気持ちが伝染してくるようなライブでした。ともさんは、LEODRATのボーカルの実家に泊まったことがあり、親御さんとも面識があるそうです。LEODRATのボーカルが、MCで「解散するってことを、俺の親に連絡してくれたみたいで。連絡くれたってすごい喜んでた。ふつう親に連絡できる？すごいよね、こういうところだよね。」と自慢げにともさんを褒めていて、素敵な関係だなと思いました。と同時に、そのエピソードがあまりにも、ともさんで、（やっぱりともさんだなぁ）と思いました。

そして、MCの「あなたたちの気持ちがわかる、ここに立ってるとすごい伝わってくる」という言葉に救われました。アーティストとファンは全く立場が違うけど、この日のLEODRATと街人ファンは街人のことが大好きで、解散が寂しくて仕方がない気持ちで一緒でした。受け止めてくれて嬉しかったです。

LEODRATの出番が終わり、街人が登場しました。名古屋公演では、「寂しい」という感情が強かったのですが、滋賀公演は、「かっこいいのに惜しい」という気持ちを強く感じました。ライブの後半になるにつれ、どんどんかっこよくなっていったからです。

「レンジ」で勢いをつけて、「24」を丁寧に歌って、「コニカ」をぶち上げる流れが最高でした。ツアーを通して、洗練されていっているのが分かりました。ツアーの最後、渋谷のワンマンのときには最高にかっこいい状態に仕上がっているんだろうなと思いました。ただ、その先が解散なのがやっぱり惜しいです。街人は優しいバンドだけどどこまでもロックバンドです。

ワンマンのチケットは取れなかったので、この日が最後のつもりで見ました。MCでは、精神的に苦しい時期があったことが語られました。そして、街人の曲をお守りにしてほしい、とも。そうだったんだなぁと思う一方で、必死でつくられた曲たちを、ずっと大事にしようと思いました。

街人セトリ

1.朝
2.ロックバンドになって
3.きれいごと
4.Number
5.怪獣
6.北極星－ポラリス－
7.東京
8.レンジ
9.24
10.コニカ
アンコール
11.she
12.sayonara
ダブルアンコール
13.sayonara

□4.ラストライブレポ

上を向いて歩こうツアーが終わり、残すはワンマンライブ渋谷公演のみとなりました。チケットが取れなかったので行けるとは思っておらず、別のバンドのチケットを取りました。別のバンドの方は、コロナ対策で開演時間が早めだったので、街人の当日券が出ればはしごしたいという旨のツイートをしたところ、「行けなくなったので譲ります」と言ってくださる方が現れ、なんと行けることになりました。

はしごだったのでバタバタで、東京にも引っ越してきたところだったので、道も分からず、遅刻で入りました。場は既にあたたまっていて、名古屋や滋賀の会場よりも広いステージで演奏する姿にジーンときました。

それから、ライブハウスって怖いイメージがあると思うのですが、街人が演奏していると、すごく優しくてあたたかい場所になるんですよね。迷子になりまくって、（東京こわい）となっていたので、ライブハウスに辿り着いて街人をみたときにひどく安心した自分がいました。秘密の逃げ場所みたいだなって思いました。この空間が今日でなくなるなんて信じられないなと思いました。

でも、ともさんの表情がすごく清々しくて。名古屋や滋賀は、しんみりしすぎないように頑張っているかんじがしたのですが、この日は吹っ切れたような、やり切ったような、清々しさを感じました。アンコールで出てきたときに、「俺じゃなくて楽屋が泣いてるんだけど！」と言って笑うともさんを見たとき、ひどく安心しました。

そして、この日はアンコールにサプライズがありました。「最後はこの人に叩いてほしかった」というともさんの言葉に、ざわつく会場。出てきたのは、街人の元ドラムのさわけんさんでした。3人揃ってのコニカ。ドラムの方を向くベースとギターボーカルの姿にグッときました。客席に背を向けて、バンドで輪になるかんじ、最高ですよね。本当に悔いなく街人が終わるんだというかんじがしました。

ツアーでは、「できるだけお客さんに会いたい」「直接音楽を届けたい」「自分の言葉で話したい」「大好きなバンドと対バンでやりたい」という想いがあったのだと思います。そのすべての望みをツアーで完遂し、ワンマンで、元のメンバーでもう一度演奏ができた。街人は、やり切ったんだと思いました。

街人セトリ

1.ホップとロックとわたし
2.ロックバンドになって
3.きれいごと
4.SOS
5.ユース
6.怪獣
7.北極星－ポラリス－
8.東京
9.Amarysiss
10.レンジ
11.白球の行方
12.24
13.she
アンコール
14.コニカ
15.sayonara
ダブルアンコール
16.sayonara

□5.そして生活はつづく

私の大好きな街人というロックバンドは、「愛してくれてありがとう」という言葉をライブで何度も残して、解散しました。コロナで解散ライブをしないまま解散するバンドも多いなか、全国をまわって、愛を伝えるチャンスをくれたことが本当に嬉しかったです。遅すぎたけど、届いて良かったなとも思いました。

そして、解散しても、街人の曲をお守りにしてほしいという気持ちもすごく伝わりました。解散しても、私が街人を聴きながら歩いていく生活はつづきます。他のファンもそうなんだと思います。そして、街人メンバーの生活もどこかでつづく。そのことを前向きに捉えたいなと思います。

ちなみに、この章のタイトル「そして生活はつづく」は星野源の著書のタイトルです。ともさんのTwitterアカウントのヘッダーになっていたので、好きなんだなと思って嬉しかったです。生活がつづいていったその先が、また音楽だったらいいなと少しの期待を込めながら、街人メンバーのこれからもつづいていく生活が幸せであることを願いたいなと思います。

あ、「そして生活はつづく」、おもしろい本なので、興味のある方はぜひ。下ネタあるけどな（笑）

P.S

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。街人ファンとは仲良くなれる気がするので、良かったら繋がってください。たまたまこの記事を読んだ街人を知らない方は、今からでも聴いてください。ライブはないけど、音楽はそこにあります。

〇街人好き同士良かったらつながりましょう♪

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