各地で緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令されている状況下で開催された音楽フェス、JAPAN JAM 2021。批判の集まるフェスで、参加者の視点からみえたものを伝えます。
もくじ
1.SUPER BEAVER
2.音楽は不要不急か
3.ハルカミライ
4.フェスで受け取るもの
5.スタッフの尽力
6.まとめ
不要不急の外出は控えましょう、という要請があるなかだったので、葛藤を抱えたまま参加しました。ですが、参加することによって見えたものがたくさんありました。2つのバンドのMCに焦点を当てながら、フェスの中身をお伝えしたいと思います。
1.SUPER BEAVER
1年ぶりぐらいにライブを見ました。そのライブには、愛を思い出させてくれたり、やりたいことや好きなこと、夢へ向かう背中を押してくれる音と言葉が詰まっていました。一番大切なのに、日常のなかで忘れていってしまうものを、彼らはいつも突き付けてくれるように思います。日常が灰色に見えてきたら、それはきっとそういう大切なものを見失っているときなのだと思います。彼らのライブに行くと、日常に色が戻る感覚があります。
そして、ボーカルの言葉が腑に落ちました。
「音楽は、腹の足しにはならない。あなたの病気も直せない。飯でも、病院でもない。でも、音楽にしかできないことがある。誰かにとっての不要不急は、誰かにとっての必要。」
ああ、そうか、と思いました。音楽に興味のない人にとっては、音楽は不要不急です。でも、音楽に救われながら生きている人たちにとっては、そうは言い切れないのです。
2.音楽は不要不急か
フェスで派手な格好をして笑い合う姿を見れば、元気なんだから家で大人しくしていてほしいと思う人は多いと思います。でも、それは外から見た状況です。その人の心の中まで想像してください。思春期のぐちゃぐちゃな心や、仕事に疲れた心が、そこにはあるかもしれません。身体は元気かもしれませんが、心はとても繊細です。ちぎれそうな心を音楽でつなぎとめて、なんとか生きている人は思った以上に多いです。そういう人たちにとっては、音楽はいま必要なものです。
フェスという楽しい場所がなくなって、音楽好きの視界が灰色のままの世界か。感染対策を徹底した上でフェスをやって、音楽好きの視界に色が戻って、明日から頑張ろうと思える世界か。後者を選択したのが、ロッキンという会社であり、参加したバンドであり、参加した音楽ファンです。筆者はその選択に賛同したいです。
3.ハルカミライ
どうしても伝えたいことを一つだけここに記します。ライブ中の、ボーカルの言葉です。
「たくさん人がいるし大丈夫かな 不安に思いながら来たかもしれねえ でもな JAPAN JAMだから大丈夫だぜ」
「‟JAPAN JAMだから”大丈夫」というこの、一言の意味。
筆者はたくさんのフェスに参加してきましたが、ロッキンの運営するフェスは、居心地の良さがダントツで良いと感じます。整理された導線、充実したスタッフの数、マナーやルール順守の徹底。模範のようなフェスだと感じます。だからこそ、このコロナ禍の状況では、中止にするだろうと思っていました。参加者第一で安心安全を徹底してきたロッキンです。JAPAN JAMが中止になり、他のフェスも中止になる流れだと思っていました。だからこそ、開催するという宣言がでたとき、筆者は「らしくない」なと思いました。
でも、逆でした。1年単位ではなく、数年単位でこのコロナの状況が続くのだと考えたとき、単に中止するのではなく、感染対策を徹底した上で安全に開催できるフェスをつくっていく必要がでてきたのだと思います。そうなったとき、全国にたくさんのフェスがある中で、最も徹底的に参加者にルールを守らせ、きちんとコロナ対策して運営できる会社としてあがってくるのはロッキンだと思います。コロナ対策はずさんな運営にはできません。きちんとしたマメな運営にしか徹底できないと思います。だからこそ、この状況下でJAPAN JAMが先陣をきる必要があったのだと思います。
ハルカミライのライブでの「‟JAPAN JAMだから”大丈夫」という言葉。この言葉には、音楽家からのロッキンへの信頼が込められていると思います。でも、筆者はそれだけでなく、参加者をはじめとしたあらゆる音楽好きからの信頼も、ロッキンには向けられているのだろうなと思いました。
クラスターが発生すれば、会社への批判は一気に高まって、信頼は地に落ちます。そんなふうには絶対にさせない、必ず音楽業界の活路を見出す、そんな覚悟で開催に踏み切ったのだと思います。開催するというのは、真面目な運営だからこその選択だったのだと気づきました。会社が背負うリスクだけでなく、音楽業界の未来を見据えたこの選択は、「らしくない」ではなく、「らしさ」でした。
4.フェスで受け取るもの
第三章までは真面目な話をしました。この章では楽しかった部分をお伝えしたいと思います。
朝はちょっと肌寒くて、でも空が青くて晴れている、そんな春フェスらしい気候でした。気持ちの良い風と、かっこいい音楽と、あたたかい言葉。筆者はやっぱり、フェスという場所が大好きです。
一緒に行った友達は、1つのバンドを見終わるたびに、感じたことを一生懸命伝えてくれる、とても心の柔らかい人です。この人と一緒に行って良かったなと思いました。おかげで、筆者も音楽を丁寧に受け取ることができたと思います。伝え方はそれぞれ違えど、どのバンドも聴く人に何かを与えようと真っ直ぐに向き合ってくれた一日でした。
そして、フェスには、人が集まるからこそ受け取れるものも多いです。それぞれの好きなバンドのTシャツを着て笑い合う姿は見るだけで元気をもらえます。一斉にあがる拳からは、ファンの想いが溢れ、力をもらえます。風で物が飛んできて、謝ってきた人に対して笑顔で返すこと、写真をとってもらうときに「そのバンドのタオルかわいいですね」と笑いかけられること、こういう細かな人との関わりに、心がどれほど癒されるか、想像できますか。だから、筆者はフェスが、大好きなんです。
コロナ禍での開催は難しいことだらけですが、フェスから受け取れる幸せや力は計り知れません。それを4日間で4万人が受け取ります。
5.スタッフの尽力
今回何よりも注目してもらいたいのが、スタッフの方たちの尽力です。
ステージ前の観覧エリアの床には、テープが貼ってあって、密にならないよう、区間が仕切られていました。床に膝をついて、このテープを貼ってくれた人がいるということです。
感染対策をお願いするアナウンスを拡声器でするスタッフさんもいました。話す内容を暗記して、大勢の前で声を出すことが、どれほど緊張することだろうと思います。
物販のスタッフさんは、フェイスシールドと手袋をしていました。フェイスシールドによる視界の悪さはもちろん、手袋をしていれば、電子決済の機械のボタンだって、押しにくいはずです。
人を楽しませるために尽力してくれた人が何十人、何百人といる、この事実を筆者は忘れたくないです。この事実に元気をもらえます。
6.まとめ
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。それぞれのバンドの細かいレポートも書きたかったのですが、あまり長文になっても読みづらいと思うので、今回は本当に伝えたい部分に絞りました。
今回、筆者が特に伝えたかったのは、このフェス自体の話でした。ニュースになったり、いろいろな報道のされ方があると思います。でも、外側から見たフェスと、内側から見たフェスは全然違います。参加者として、内側からみたフェスはこうだったと、少しでも伝わったなら幸いです。
この状況下、参加できない方も多かったと思います。「こっちが大変な思いをしているときに、楽しみやがって」と思うかもしれません。その気持ちも、筆者は想像したいと思います。ただ、今楽しむことだけでなく、このフェスは、次に繋げるためのフェスです。感染対策をすれば、感染者を出さずにフェスができると証明し、来年以降のフェスの開催に繋げていくための、開催です。なので、今回参加できなかった人を切り捨てているのではなく、今回参加できなかった人が、コロナが落ち着いて参加できるようになったとき、まだそこにフェスという文化を残しておくための開催です。今回参加できなかったあなたにも、今回の成果は戻ってくるはずだと筆者は思います。
フェスに携わった人たちの未来に向けた想いが少しでも届くよう、願うばかりです。
メモ(本文に載せきれませんでしたが、自分のために残したいレポ走り書き)
・OKAMOTO'Sの退場の仕方がかっこよすぎる。ボーカルが先に舞台袖へ抜けていき、残りのバンドメンバーが中央に集まってそれぞれの楽器を掻き鳴らす。最後めちゃくちゃロック。
・SUPER BEAVERの「やりたいことは自分がやらないと意味がない、やりたいことはやりたいあなたがやらないと意味がない」というMCに心打たれる。
・ハルカミライの終盤で、ボーカルが「セトリ通りにいくと時間が余る!」と言い、フェス初心者かよ!と笑う。「それではオリジナル曲で、」という曲振りがはじまり、またもやフェス初心者かよ!と笑う。時間余るから何やる?となった後、「曲は俺が決める」と言っていきなり始める流れがかっこよすぎ。アドリブ力=バンド力。
・オーラルが始まる直前に流れていたHYに心打たれる。HY沁みる(笑)このしんみりしたかんじからオーラルになるの振れ幅やばいなって友達と笑い合ったの楽しかった。
・アジカンのMC「葛藤を抱えたまま解放できるのがロックという音楽」という言葉に納得する。コロナ禍のなか参加してもいいのかという葛藤を抱えたままでも楽しめたのは、それがロックフェスだったからなのかもしれないと思った。
・アジカンのトリの満足度が半端ない。これからフェス行くときはアジカンがトリのフェスに行きたい。リライト直後に帰る人が多いことを茶化すボーカルがお茶目でかわいい。
・アジカンのライブ終わりにボーカルがピックを投げる。筆者は届くはずもないほど後ろの方で見ていたが、同じように届くはずのない位置にいた男の子3人がピックを宙で掴む仕草をして、手のひらを見合って笑っていた。かわいすぎる。友達になりたい。(何の話)
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