Hyuga「Hourglass」release tour【ゲスト:climbgrow】

Hyuga初のツアーが2021年7月17日(土)に大阪福島2nd LINEにてファイナル公演を迎えました。ゲストに呼んだのは昔からの友でありライバルのclimbgrow。伝説の夜を記録します。

もくじ

1.climbgrowセトリ
2.climbgrowライブレポ
3.Hyugaセトリ
4.Hyugaライブレポ
5.まとめ
※パソコンで読むと改行がぐちゃぐちゃになる仕様なので、スマホでの閲覧がおすすめです※

□1.climbgrowセトリ

セトリ

1.LILY
2.ラスガノ
3.SCARLET
4.DOOR
5.TIGHTROPE
6.KLAXION
7.未来は俺らの手の中
8.閃光
9.風夜更け

□2.climbgrowライブレポ

SEが鳴る。メンバーがステージへ。気迫のLILYからライブが始まる。「どっからでもかかってこい、ここからが勝負だ」というボーカル泰誠さんの言葉で2曲目のラスガノ。クライムファンなら分かると思うが、1,2曲目でLILYとラスガノ、もうこれは全力で行きますよ、の合図だ。

「大阪に足りてないのはロックンロールだ」と言い放って3曲目、SCARLET。4曲目は楽器の音なしで、泰誠さんの声から始まるDOOR。クライムもHyugaと同じく全国ツアー中で、筆者が行った直近のライブはクライムのツアーの渋谷公演だった。ツアーは初日の神戸公演以来、久々に行ったが、同じバンドなのかと思うくらい仕上がっていた。完全に仕上がってきている状態のクライムが、この全力のセトリで冒頭4曲ぶっ飛ばしたらどうなるか。気迫でフロアの空気が埋め尽くされた。

だが、climbgrowというバンドのおもしろいところは、MCでは意外とアットホームな雰囲気を出すところだ。メンバー同士、仲が良いのだろう、ステージにあたたかい空気が流れる。昔からの友であるHyugaに呼ばれたライブとあって、彼に礼を言い、この日が誕生日だったギターの和嗣さんを紹介するように、「うちのギターが今日誕生日なんすよ。」と泰誠さんがフロアに投げかける。視線を集めた和嗣さんは、両手を顔の少し下に持ってきて、フロアに向かって両手を振り振り。クールな和嗣さんの可愛い仕草に、観客からあたたかい笑い声と拍手が起こる。

泰誠さんが、バースデイボーイ和嗣に向かって、「このあと焼肉行こな」と笑い、「早く焼肉行きたいんで、日向のときに抜けて焼肉行くわってさっき日向に言ったら、めっちゃ悲しそうな顔してはりましたわ(笑)まあ冗談なんすけど(笑)」とHyugaさんをひといじり。悲しそうな顔をしているHyugaさんの姿が簡単に想像できて笑ってしまった。

アットホームな雰囲気を出したものの、演奏に戻る際には場をしっかり引き締めてくれるのが、最強のボーカル・杉野泰誠。「呼ばれたからには全力でやって帰ります。」と宣言し、5曲目のTIGHTROPEへ。筆者は、この曲はタイマンをはるときに演る曲だと思っているので、ああもう今日は本当に全力のバチバチなんだなという気持ちになった。6曲目はKLAXION。

ここでMCが入るが、後半から日向さんに向けた言葉が多くなっていく。

泰誠さんは、「日向がやってたRotB(Rocket of the Bulldogs)というバンドとは、殺し合うようなライブをやってました。あのバンドをめちゃくちゃ意識してて、ずっと。ステージでは絶対負けたくなくて、認めたらあかんと思ってました、バンド辞めるまでは。」とかつてのライバルであったバンドの話をした。

そして、話題はライブハウスへの思いへと移り、「これまでは、ライブハウスがあって、歌う人がいて、弾く人がいて、叩く人がいて、それでいいと思ってた。けど、見に来てくれる人たちも大事やなと最近思います。」とフロアに目を向け、7曲目は未来は俺らの手の中

バンドが解散して、ソロアーティストとして未来へ歩み始めた日向さんに向けて演奏したとも捉えられるし、climbgrowとして未来へ突き進んでいく決意の表明として演奏したとも捉えられる。もちろん、聴き手の未来を想って演奏したとも捉えられる。普段のライブ以上に、この日にこの曲を選ぶことには、いろいろな意味が含まれていく。眩しく、力強く、そしてぬくもりのあるこの曲が筆者は大好きだ。

「まばたきすんなよ。俺らを見ててくれ。」という言葉を放って始まった8曲目は閃光。「打ち抜く現在、過去、未来」という歌詞に息を飲んだ。climbgrowとHyugaは共にお互いの過去を知り、現在を支え合いながら闘い合い、未来を願いつつも、絶対に負けたくない存在で。それらを全部含めてクライムは打ち抜いていくんだなと思った。打ち抜いて、光りながら、聴き手の心に飛び込み、刺さる、閃光。だからクライムのライブは見逃せない

史上最強の風夜更け

8曲目の閃光を演奏し終え、ギターを置いた泰誠さんが、鋭い目つきで言葉を投げつける

「日向は友達やけど、ステージ立ったら絶対負けたくなくて。他はいいけど、ステージだけは絶対に負けたくない。俺にはこれしかないから。馴れ合いとかじゃなくて、バチバチでやり合いたい。馴れ合いなんかしたら滋賀が腐る。あいつにもらったもんいろいろあるけど、もらったもんは何倍にもして返す。殺し合うつもりでやりたい。日向のこと絶対認めたくない。ここで息の根を止める。」

フロアは静まり返っている。口なんて挟んだら殺されてしまう、そんなピリついた空気だった。泰誠さんはいつも挑むような目でライブをするけれど、次元が違った。本気で殺すつもりだったと思う。

クライムはメジャーデビューをし、夢だった京都大作戦というフェスにもつい最近、出演を果たした。一方で、Hyugaは全てを懸けてやってきたバンドを解散することになり、ソロで動き出したところだ。世間的に見れば、クライムの方が格上ということになる。これはおそらくHyuga本人が最も痛感していることであり、クライムがある種のコンプレックス的な存在になっている可能性すらある。ここまで言われたHyugaはどうなるのだろうかと思うほどに泰誠さんの言葉は強烈だった。

追い打ちをかけるように泰誠さんから放たれたのは、「俺らには絶対勝てねえ」という自信に満ちた言葉。こんな言葉を投げつけられたら、自信のない表現者ならば、きっと表現をやめてしまうだろう。泰誠さんが「日向聴いてるか?」と投げかけたとき、ステージに音もなく現れたのはHyuga本人。このときの様子を来ていない人に文字でしか伝えられないのが本当にもどかしいのだが、一言で言うと帝王目が据わっていて、触れたら殺されそうな威圧感を身体中にまとっていた。あれほどまでに黒い雰囲気をまとった彼を見るのは初めてだった。殺されるどころか、殺されるのはどっちなのかと思うほどのオーラに、フロアも圧倒されてしまっていた。無言でベース側のマイクをむしるように取り、手にもつHyuga。

罵り合いのラップバトルでも始まるのかと思ったが、殺し合いが始まる、その音は「風夜更け」だった。筆者はHyugaがソロになってから知ったので、生の楽器の爆音の中で叫ぶ彼を初めて見た。言葉と音に感情を込めるようなソロの表現とは異なり、言葉にならない叫びに感情を込める姿がそこにあった。

ステージの中央で杉野泰誠とHyugaが歌い、叫んでいる。その二人の姿があまりに様になっていてかっこよくて、かっこよすぎて、こういうバンドがあれば良いのになと思ってしまった。でも、この日にしか無いという尊さも相まって、ものすごい光景になったのだとも思う。

ステージで、音楽で、殺り合うことのかっこよさを初めて知った。殺し合いのステージには優しさなんて欠片もない。なのに、二人の間からは絶対的な信頼が感じ取れた。泰誠さんが「日向に突き刺さることを祈る」と歌詞を変えた。曲が終わると、一言も発さずHyugaが戻り、メンバーも戻っていった。

フロアが明るくなると、観客がざわつき、それぞれが近くに居た人に興奮気味に話しかけ、騒がしくなった。一人では抱えきれないほどの興奮を誰もが持て余していた。

□3.Hyugaのセトリ

セトリ

0.朝
1.求春
2.息吹く
3.秒夏
4.butterfly effect
5.生きる(不可思議/wonderboy)
6.秋映
7.革命
8.蒼く燃える
9.冬陽

アンコール
10.暁闇をつけ(Rocket of the Bulldogs)

□2.Hyugaライブレポ

ステージに再び現れたHyugaは優しい表情を浮かべた。暗黒の帝王のような雰囲気をまとって風夜更けを歌った後に、優しい表情で出てくるものだから、「なんだこの人は」と思うと同時に、安心した。昔からの友でありライバルである杉野泰誠に売られた喧嘩と信頼に対して、倍にするくらいの勢いで返したが、彼自身のステージで見せる姿はまた違う。

彼は彼の表現をする。Hyugaは歌う時、フロアの観客と目を合わせていく。彼が観客に伝えたい思いは優しく力強いものだ。圧倒されていた観客も、彼の優しい表情を見て、伝えたい思いのあたたかさを感じ、彼の表現を受け取る準備をしたのではないだろうか。

本来、ライブレポというと、演奏された曲順に曲の感想やそのタイミングで語られたMCなどを記録することが多いが、今回のライブに関しては、「一つのライブ」というかたまりとして記録したい。音、歌詞、歌、表情、仕草、言葉、フロアの空気、全てが濃く結びつき合っていて、「一つのライブ」だった。没入できるようなこの世界観の濃さは、ソロアーティストだからこそ。バンド解散の絶望や、ソロとして復活するまでの2年間の苦しみ、今もなお続く葛藤、何年かかっても絶対に諦めたくない夢、これらが彼の全て楽曲に詰まっている。ライブで見ると、それらがより生々しく感じられる。

HyugaはRotB解散後、2年間の準備期間を経て、ソロアーティストのHyugaとして復活した。彼はこの日のMCで、「2年間で住む場所を変え、食べるものを変え、考え方を変えました。」と語った。「無駄だと思うものを全て排除して、必要なものだけを残しました。」とも語った。彼にとってバンドの解散がいかに大きな出来事だったのかが伝わる。ソロとして復活するまでにゼロから考え直す必要があったことも伝わった。大人になってから、いろんなものを変えるというのは非常に大変なことだが、それを彼はやったのだろう。

筆者の好きなMCを下記に記す。
「2年間で大事にしていた言葉があって。‟順番は必ず回ってくるから、準備をしておきなさい”という言葉で。順番が回ってきても、そのときに準備ができていなかったら、応えられないから、準備をしておきなさいってことなんですけど。でも、厄介なのが、順番っていつ回ってくるかわからないんですよ。明日かもしれないし、10年後かもしれない。でも、それでもいいって思って。そう思って、準備をしてきました。」

普通だと、10年後かもしれないし辞めよう、となる。でも、10年後でもいいから、やりたいと彼は思ったのだということ。爆音のバンドサウンドがなくても、それに匹敵する、あるいはそれ以上の強さで歌が心に刺さるのは、彼の思いの強さゆえだろう。

Hyugaのライブでは、彼自身の夢だけにとどまらず、観客の夢もまた彼の表現が掬い上げる。力強い眼差しで「順番は必ず回ってくる」と自分の夢を語ったかと思えば、「あなたにも順番は必ず回ってくる」のだと観客の目を見て訴えかける。夢を馬鹿にされたり、挫折をしたりしながらも、それに負けず現在進行形で歩んでいる彼の言葉には強烈な力強さと優しさがある。彼のステージが帝王ではなく、優しい表情で始まったのは、観客と同じ目線になって伝えたいことがあったからなのではないだろうか。

歌い、言葉を紡ぎ、時に笑いをとりながら彼のライブは進んでいく。音に身を任せ、歌詞に心を刺され、かと思えば笑わされたり、泣かされたり。この日もボロボロに泣いている人が何人か目に入った。それほどまでに彼のライブから伝わってくる感情は凄まじい

「夢を語ると笑われるような世界ですけど、そんなもんぜんぶひっくり返せばいいんです」と言って笑った彼の顔が強烈に印象に残っている。その笑顔の裏に半端ではない強さがあることに気づかずにはいられなかった。

アンコール:暁闇をつけ

最後の曲を歌った後、長い長いお辞儀をしてから袖に戻ったHyugaは、アンコールで再びステージへ呼び戻された。

「胸いっぱいで泣きそうになりながら袖に戻ったら、泰誠がネコチャンのTシャツ着てました(笑)僕の何年もパクられ続けてるTシャツ(笑)袖に戻ってそれ見たとき、ええー!ネコチャンのーーーー!!ってなりました(笑)」と笑いながら話すHyuga。

とても良いライブをした後にこのMCが入るのが彼らしくて笑ってしまった。そして、やっぱり泰誠さんと日向さんの関係性が素敵だ。

気を取り直して、アンコールで再登場したHyugaが歌ったのは、RotBの「暁闇をつけ」

歌う前には、「前のバンドの曲を歌うことに関して、嫌やなと思う人もいるかもしれへんとか、いろいろ思ったんですけど、歌わへんかったら、育児放棄してるみたいな気分になってきて。歌えるのは自分だけやから。」と語った。

バンド時代も今のソロも、全部が繋がっていて、人生まるごと表現するのであれば、この曲を捨て置いて進むことはできないだろう。どこまでもこの曲を連れて行ってほしいと思った。

まとめ

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。ライブのかっこよさに全振りするべく、楽しいMCを大幅にカットしました。この夜を伝説の夜として語り継いでほしいです。

全力でぶち込むかっこよさで聴く者を駆り立てる杉野泰誠と、心を捉えて音と詞を響かせ、聴く者に直接語りかけるHyuga。不器用だが人を惹き付ける能力に長けた杉野泰誠と、器用で人に寄り添う能力に長けたHyuga。二人は正反対の魅力をもっていると思います。一方で、夢に対する異常なまでの執着心と、ユーモアに富んだところ、愛情深い人柄は同じだと思います。

二人がぶつかり合った風夜更けは、猛獣と帝王のようにも見えたし、悪魔と天使のようにも見えました。似ているけれど、正反対。そんな二人が愛しくもあり、かっこよくもあった最強のツーマンでした。風夜更けは、ONEPIECEで言うと、覇王色の覇気をもった船長同士がぶつかり合って周りの人たちが気絶するアレでした、完全に。リアルに体感できると思わなかった(笑)Hyugaのヤバさを引き出した杉野泰誠の煽り能力もヤバかったです。あの煽りは、言葉は強いけど、Hyugaを絶対に負けたくないライバルとして見ていることの表れでもあったと思います。

それから、クライムもHyugaも両方ツアーを周っているタイミングだったことも最高のライブになる要因だったのだと思います。クライムがツアーを通して仕上がってきているという話を本文に書きましたが、Hyugaもファイナル公演で仕上がったんだろうなと思います。ツアー前、ソロで復活した初回と、復活後2回目くらいのライブに行ったのですが、その頃と比べて、今回のライブは格段に良くなっていました。しかも、今回のライブで一番かっこいいなと思った曲が、革命という曲なのですが、前日に完成したばかりの新曲だったようです。新曲が一番良いっていうのはもう期待しかありません

クライムにも、Hyugaにも、順番が回ってきていますね。ただのファンとして言えるのは、クライムに幸あれ、Hyugaに幸あれ、もうこれだけ!!!
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