CRYAMYワンマンツアー2022[売上総取]ライブレポ@福岡

2022年5月24日、新代田FEVERでのライブが皮切りとなったCRYAMY ONE MAN TOUR「売上総取」。5月27日に開催された2公演目・福岡grafでのライブをレポートします。

もくじ

1.はじめに
2.福岡公演セットリスト
3.福岡公演ライブレポ
4.まとめ

□1.はじめに

筆者はCRYAMYが好きすぎるただのファンなので、気軽に読んでいただけますと幸いです。対バンの多いCRYAMYですが、今回はなんと“ワンマン”ツアー。毎公演、ワンマン。このツアー情報が解禁されたときは、驚きと喜びで思わず叫んでしまいました。夢のワンマンツアー!!!

筆者は東京在住かつ実家が関西にあるので、東京公演と大阪公演に行こうと思っていましたが、直前になって全公演行くことを決意しました。ワンマンツアーは、この機会を逃せばおそらく数年後。筆者は既婚のため、その頃には母親になっていてもおかしくないし、そうなればワンマンツアーがもう一度開催されたとしても、1公演も行けないかもしれないと思ったら途端に恐ろしくなって、「今しかない」と思いました。

全公演行った感想としては、ツアーファイナルが別格だったのを除けば、筆者は福岡公演が最も“好きな”ライブでした。ツアー中は毎回セトリが変わって、公演ごとにまったく異なるライブだったので、CRYAMYを好きな人全員が全公演行ったとしても、一番好きなライブは人によって違うだろうなと思います。

筆者のTwitter(♯CRYAMY売上総取の記録)とInstagramでは、毎公演の感想を1投稿に収めておりますので、よかったらそちらもどうぞ。このブログでは、福岡公演とツアーファイナルのみをライブレポとして残します

<注意書き>
このライブレポは個人的な日記としての性格も帯びていますので、無駄話もあります。ライブ開演前に隣の人とこんな会話をしていて~みたいな話も含んでおりますが、それもまた、筆者にとってのかけがえないの思い出のため、あたたかい目で見守っていただけますと幸いです。

□2.福岡公演セットリスト

1.待月
2.変身
3.普通
4.crybaby

5.Pink
6.スカマ
7.sonic pop
8.兄弟

9.悲しいロック
10.easily
11.twisted
12.E.B.T.R

13.ALISA
14.delay
15.物臭
16.くらし

17.WASTAR
18.マリア

アンコール
19.完璧な国
20.待月

ダブルアンコール
21.ten

□3.福岡公演ライブレポ

開演前(無駄話なので飛ばしてOK)

筆者はツアー初日に参加したので、福岡公演で久しぶりのワンマンを見たわけではない。初日と福岡公演は3日間しか空いていなかったため、もはやCRYAMYの過剰摂取である。ライブハウスに着くと、初日にも来ていた関東のCRYAMYファンが集まっていて、お互いの必死さに笑った。遠くても、来られる条件が揃えば、来てしまう。

開場時間になり、ライブハウスに入る。前から数列目のカワノさん(Gt&Vo)とレイさん(Gt)の間の位置を確保。近くにいた友人らとしばらく談笑。開演前の話題は、ツアー初日でカワノさんがシャツの襟元に両手をかけ、思いっきり左右に引っ張ってボタンを弾け飛ばした件について。白シャツは初日でボタンが全部なくなったから、今日は黒シャツでやるんじゃないかというのが我々の予想だった。何の予想だよというツッコミはさておき。

それからツアー初日はSEがなく、いきなり演奏が始まったけど、ツアー中ずっとそうなのだろうか?という話もしていた。会話の中でひとりの友人が「売上総取だからCRYAMY以外の曲は聴かせないってことでSE無しななのでは?」と言い出したときには、「なるほど!!!」と大興奮だった。真意はわからないけれど、そうだったら激アツである。

開演時間になり、マネージャーさんがセトリの紙やペットボトルを設置し始め、いよいよ始まる空気になる。いつメンバーが出てきてもおかしくない状況になり、隣の友人と目を見合わせ、「やばい」「緊張する」「しんどい」「吐く」などと表情で語り合った。もはや表情でわかるくらいに我々は切羽詰まっていた。なお、お互いに初日も参加しているのに、だ。何回みても、つい最近ライブを見たところでも、CRYAMYのライブはえげつないくらい緊張感がある

そして、いよいよメンバーが入場。カワノさん、なんと白シャツだった。弾け飛んだはずのボタンはすべてついていて、弾け飛んだのは夢だったのかと思った。違うシャツなのかもしれない。

とまあ、開演前はこんなかんじだったのだが、ライブが始まったらもう、CRYAMYの世界観の中である。息を殺してじっとステージを見つめた

ライブ開始(本題)

福岡公演もSEはなく(結局全公演なかった)、演奏が突然始まる

1曲目は待月。ツアー初日もこの曲からだった。新譜「#4」の曲順からして、マリアから演奏すると予想していたのだが、このツアーは待月スタートにこだわっているのかもしれない。救いのあるこの曲から始まることにあたたかみを感じた

待月はライブになると激しさの増す曲で、一気にライブに熱気をもたらす。そして、「わかってる」と受け止めた上で、「守ってあげる」と叫ばれる、そんな曲だ。1曲目から「これを見に来たのだ」と思わされる

2曲目は変身。redalbumの曲なので、建国物語ツアーを思い出し、ちょっと懐かしい気持ちにもなった。そしてこの曲も勢いのある曲なので、ライブとしてどんどん勢いが増していく感覚があった。

3曲目は普通。普通は、時速36kmツアーのCRYAMYゲスト回で福岡に来た時に、普通を流しながら夜の街を歩いたから、筆者にとっては福岡の思い出の曲になっていた。今日聴きたいと思っていたから、とても嬉しかった。そしてこれもまたえげつないくらいかっこいい曲である。

待月→変身→普通と、過去の曲にさかのぼっていく。「この曲を聴けて嬉しい!」という気持ちがどんどん高まっていく。そして最初からずっと爆音で、かっこよさは全く止まらず、増すばかり。

4曲目はcrybaby。この曲は思いっきり拳をあげたくなる曲だ。3曲目まででボルテージを高めていき、4曲目でフロアの興奮が爆発。最高すぎる。目でカワノさんを見ていて、耳は爆音の生音で、拳は高く振りかざしていて、心はワクワク、ドキドキしていて、身体は音に揺らされていて、なんだかとても忙しかった。ああ、大好きだ。

カワノさんが「はじめまして、CRYAMYです。」と言って、5曲目はPink。この曲はライブで何回も聴いたことがあったのだが、筆者の知る中では過去最高の仕上がりだった。何が良かったかというと、とにかく凶器みたいな演奏だった。攻撃性が高くて、突き刺してくるようなPinkだった。声や音に込められた感情の濃度が高くて、凝縮されていて、破壊的だった。これはかっこいい、これはかっこいいぞ。

6曲目はスカマ。ツアー初日に初めてライブで披露された曲だ。初日に行った人は分かると思うのだが、ライブで演奏されるスカマの攻撃力ってえぐいのだ。今あるCRYAMYの曲の中では、一番攻撃性が高いのではないだろうか。

怒り、憎しみ、恨み。そんな感情がはばかられることなくぶつけられるような曲。歌い方、声に込める感情、表情から仕草まで、ぜんぶ感情剥き出し。カワノさんはこういう部分も全部見せないといけない、と思っているのかもしれない。とにかく、剥き出しなのだ。そんな曲を、過去一攻撃性の高いPinkをやった後にやるのだから、もうエグい。

CRYAMYと攻撃性の高い曲は、非常に相性が良い。救いになるような曲、暗く沈むような曲、CRYAMYはいろんな曲を持っているけれど、結局一番かっこいいのって攻撃性の高い曲なのではないだろうかと思ってしまう。具体的にいうと、テリトリアルとスカマ。いんやもうね、かっこいい。ひたすらにかっこいい。筆者の求めるロックバンド、ここにあり

ちなみに、スカマは「ららららら♪」のところをレイさんと高橋さん(Ba)が歌うので、そこも大注目である。ツアー初日のスカマでは、筆者はカワノさんを見すぎていて、レイさんが歌っていると気づかなかったのだが、ツアー初日の直後に周囲が「レイさんが歌った!」と騒いでいたから、今回は注目して聴いた。たしかにレイさんの声だった。レイさんのコーラス、最高なのでこれからライブに行く方はぜひ注目してほしい。

7曲目はsonic pop。いやもうだめでしょ、この組み合わせは。sonic popといえば、冒頭からカワノさんとレイさんでギターを搔きむしるように弾きまくる曲である。流れをおさらいしよう。攻撃的なPink→破壊的なスカマ→暴れ狂うsonic popである。もう無理、本当に無理。筆者はこういうCRYAMYが本当に大好きだ。激しい曲が好きだし、暴れ狂うライブが見たい。その欲求を真正面からすべて満たしてくれるライブだった。まだ2公演目なのに、もうこんなにかっこいいの?何このツアー???

8曲目は兄弟。いやいやいや!レア曲~~~!!!この流れで、レア曲~~~~!!!!!はいしんどい、しんどいっす、キャパオーバー。結論だけ言うわ、良すぎ。

兄弟を演奏し終えると、カワノさんのMCが入る。
「身分証もないし、はかってないけど、はかったらIQとかも低いんでしょう、きっと犬ぐらいしかないよ。この曲はこういう曲で~っていうのを喋るのあると思うんだけど、そういうのがなくても分かるような曲です。」と語って、9曲目は悲しいロック

1~8曲目の激しいパートが落ち着き、9曲目からじっくりと聴かせるパートに突入したことを肌で感じた。最近のライブでよく演奏していたから、個人的に悲しいロックは落ち着いた心で聴ける。

10曲目はeasily。これまたレア曲で、さすがワンマンツアーだなと思った。最近の筆者の悩みに直結するような歌詞の曲だったから、この曲を生で聴きながら、悩んでいることをいろいろと思い出したりして、考えたりして、そうしたら、ある考え方が浮かんできて、なるほど、こう考えたら少し生きやすくなりそうだと、なんとライブ中にひとつの悩みが解決してしまった。こういうことってたまにあるのだが、久々の感覚だった。

このあたりを具体的に書いてしまうと、文字数が大変なことになるので割愛。この記事の最後におまけとして付けておくので、他人の歌詞解釈を聞くのが好きな方は、読んでみてほしい。

11曲目はtwisted。過去のライブで「ラブソングです」と言ってから演奏していたから、筆者はこの曲をラブソングとして認識していた。だからこそ、easilyという冷たい歌詞の曲の次に、ラブソングを歌ってくれたことが嬉しかった。easilyを歌って、そのままで突き放さなさず、twistedで回収してくれたことが、筆者にとっては救いになった。

12曲目はE.B.T.R。ツアー初日では、E.B.T.Rの前にカワノさんが「昔住んでいた家では、鍵をポストに入れて、誰でも入ってこられるようにしていた。友達が勝手に入ってくることもあったし、知らん奴が部屋にいたこともあった。」という話をしていた。E.B.T.Rは「everything but the room」の略称である。「the room」はカワノさんの部屋だったのかもしれない。他に行き場のない人が集まる、そんな部屋の曲。そのMCを思い出しながら、じっくり味わった。

13曲目はALISA、14曲目はdelayが続き、15曲目は物臭。物臭はライブであまりやらない曲なので、心の準備ができておらず、最初は何の曲か分からなかった。「え…?このイントロなんだっけ…分からないってことは新曲?いや待ってこれ物臭、え?物臭…?え?今?生で聴いてる????待って??????」というかんじ。誰一人待ってくれなかったが、生の物臭をしっかりと受け止めた。普段、何度も聴いている曲でも、ライブとなるとパニックになってしまう。物臭を演奏してくれて本当に嬉しかった。

16曲目のくらしを演奏し終え、カワノさんのMCが入る。

「あと2曲。いろいろあると思いますけど、明日も、しっかり。」

「しっかり。」の後には、「生きて」という言葉が入る気がするが、そこまで言わないことにカワノさんの理解を感じる。「生きて」という言葉を押し付けず、「しっかり」までで止める。この考え方はおそらく歌詞にも表れているのだろう。「生きて」ではなく「命なんて懸けなくていいよ」と歌う、WASTARがこの日の17曲目だった。

直前がくらしという暗い曲だったのに加え、ライブ前半が攻撃力の高い演奏だったから、今回は救いというより、攻撃・暴力・残酷さ、そんなものを感じるライブだった。でも、それをすべて打ち砕くくらいの光を、WASTARはまとっていた。ここが、今のCRYAMYの真骨頂である。

ディスタンスやテリトリアルしかなかった頃のライブに行ってみたかったという気持ちはあるが、絶対に今のCRYAMYの方が筆者は好きだと思う。攻撃性を失ったわけでなく、むしろ感情を込めることが上手くなって、濃度の高い表現を出してくれるようになっている上に、攻撃だけで終わらず、攻撃性を抱えたまま、天使になる様を見せてくれる。苦しい曲を歌ってきたからこそ、この人から降り注ぐ光なら、かぶってみてもいいと思える。こんなに信頼できる表現者は、なかなかいない。WASTARを生で聴くたびに、このバンドに出会えてよかったなと思う。

本編ラスト、18曲目はマリア。WASTARで終わると、あまりに眩しくて、自分たちの元にはもういないような気分になってしまうが、マリアが直後に演奏されることで、近くにいてくれる感覚になる。WASTARは救う側の視点だが、マリアは「私を救って」と、救ってほしい側の視点が入る。だから、近くに感じるし、自分の心もリンクしやすい。共鳴して、ぶちあがれる。最後に心の近くに戻ってきて、ぶちあがらせてくれる完璧な終わり方だった。

演奏後、メンバーが退場する。完璧な終わり方すぎて、アンコールするのをためらった。でも、もっともっと聴きたかったから、アンコールの手拍子をした。周囲もその気持ちは同じで、手拍子は鳴りやまない。

そして、メンバーが再登場。カワノさんがMCをする。

「初日からこのツアーでは、アンコールはやらないつもりだったんだけど、初日が80分しかもたなくて。1時間半もやってないじゃないかってかんじで。だからアンコールを20分やって。10分喋って、1曲を10分やったんですよ(笑)。で、今日はセトリを組みなおして、曲数も増やして、時間もはかったりして、やったんですけど、さらに短くなってました(笑)。なので、2曲やります。」

このツアーはMCがほとんどなく、爆速で進んでいくようなところがあった。今だから言えるが、結局全公演でアンコールをしていた。アンコールをやらないつもりだったとはいえ、呼べば出てきてくれるあたり、なんだかんだでお客さん想いなバンドだなと愛おしくなった。

アンコール1曲目は完璧な国。脳にアンコール補正がかかっていて、勝手に月面旅行かと思ってしまったが、完璧な国だった。建国ツアー以来、久々に生で聴いた気がして嬉しかった。この曲には友人との特別な思い入れがある。

2曲目は待月。このライブは、待月ではじまって待月で終わったライブということになる。「守ってあげる」という絶叫でライブが終わるのが最高だった。

2曲の演奏が終わり、メンバーが退場。一縷の望みをかけて、ダブルアンコールの手拍子が決行される。メンバーが再登場し、カワノさんが「もうマイクが切れているので、肉声だけど、やります。」とマイクなしで発言。まずこの発言自体を肉声で聴けたのがヤバい。(しかも今から肉声で歌うんですか?え??特別すぎない????)という気持ち。

そして、tenの演奏がスタート。さっきまでは聞こえたカワノさんの肉声も、容赦ない楽器の音でまともに聴こえず。でも、節々で聴こえたような気がした。実際に聴こえていたのか、普段から音源を聴きすぎて、勝手に自分で脳内補正をしたのかが分からないのだが、最大限に声を振り絞って歌ってくれているのは顔を見れば分かった。

歌声がほぼ聴こえない状態でもフロアの拳はしっかりとリズムをとっていて、本気のファンしかいない、ワンマンという空間であることを実感した。全力で応えてくれるCRYAMYも、全力で求めるフロアも、心の底から大好きだと思った。コロナ禍になって感じにくくなった音楽家と客の生のぶつかり合いのようなものを、久々に感じた瞬間だった。

どこまでも激しく、攻撃的な演奏だった福岡公演で、WASTARの眩しさや肉声tenのあたたかさはあまりも強烈な印象として残った。これらのすべてを含めて、筆者は福岡公演が大好きだった。ライブ直後、「過去最高のライブだった」と隣にいた友人に話したら、「私もそう思った」と返ってきた。だが、このときの我々はツアーファイナルを知らなかった。これ以上のライブをファイナルで仕上げてくるのが、CRYAMYの凄いところだ。

□4.まとめ

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

全公演に参加しましたが、行った人だけがライブの記憶を持つということの尊さも分かるので、ライブレポは福岡公演とツアーファイナルだけに絞ります。行った方にとっては思い出せるレポ、行っていない方にとっては雰囲気が伝わるレポになっていたら幸いです。

このツアーでは、テリトリアル・ディスタンス・世界・月面旅行など、これまでの定番曲がほとんど演奏されず、新譜「#4」を基調としたセットリストでした。第2期CRYAMYのお披露目だったのかもしれません。

定番曲を演奏しなくても、こんなにも満足度の高いライブになること、出揃ったカードを使いこなして、毎回セットリストを変えて、各公演で異なる顔を見せられること、激しさと深さを同居させられることなど、ツアーを通して、CRYAMYの底力を見せつけられたような気がします。

大満足の福岡公演でしたが、ここにテリトリアルや世界が加わったら、どうなるのか…?という期待も膨らみました。その答えが分かったのが、ツアーファイナル。あんなヤバいライブを文章化できる気は到底しないけれど、どうしても残したいので、挑戦するだけ、してみます。では、また。

おまけ

easilyの歌詞解釈の話をツイートしておりますので、ご興味の方はよかったら読んでみてください。歌詞解釈自体は福岡公演でeasilyを聴いたときに考えたものですが、ツイートは名古屋公演のアンコールでeasilyとまほろばを連続で演奏したことに触れて投稿しています。
なお、歌詞解釈は自由なものであり、正解はありません。このツイートは暇つぶし程度に見ていただき、あなたの解釈を大事にしてください。
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