【CRYAMY】建国物語@F.A.D YOKOHAMA【ライブレポ】

CRYAMYの-red album-リリースツア-「建国物語」。3公演目として2021年5月28日に神奈川で開催されたライブのレポートです。筆者がCRYAMYに沼落ちした記録をここに残します。

もくじ

1.セットリスト
2.ライブレポ
3.まとめ
※パソコンで表示すると改行がぐちゃぐちゃになる仕様なのでスマホでの閲覧推奨です※

□1.セットリスト

1.テリトリアル
2.ディスタンス
3.変身
4.鼻で笑うぜ
5.sonic pop
6.普通
7.ギロチン
8.雨
9.HAVEN
10.月面旅行
11.プラネタリウム
12.ten

アンコール
13.完璧な国
14.まほろば
15.世界

□2.ライブレポ

「建国物語」は対バンツアーで、神奈川公演のゲストはBALLOND'OR。1曲目から異常な爆音で驚いた。「この音量のまま進めるのか?」と疑ってしまうほどの音量だった。BALLOND'ORのライブで熱気のある空間が出来上がり、「今日はヤバイ日になる」と確信した。

運命のCRYAMYが始まる。またもや異常な爆音。神奈川公演の翌日にあったサウクルというイベントのMCでカワノさんは「昨日のライブで耳があんまり聴こえないんだよね」と笑っていた。カワノさんも爆音だと感じていたことが分かり、つられて笑ってしまった。なんなんだあのライブハウスは(笑)でも、それが最高だった。CRYAMYは大きな音が本当によく似合う

神奈川公演の1曲目はテリトリアル、続けて2曲目はディスタンス。この2曲をYouTubeでたまたま見てCRYAMYと出会ったので筆者にとって特別な2曲だ。ライブ開始早々、筆者の口角は上がっていた。かっこよすぎて笑うしかなかった。

3曲目は変身。筆者はずっと胸の前で拳を握りしめていた。一秒たりとも逃したくなかった。拳をあげる時間さえ惜しかった。コロナ前の荒々しいライブハウスも恋しいが、今は受け取ることに集中したい

ここでカワノさんのMCが入る。この日は比較的たくさん言葉をくれた日だった。ライブから帰ったその日、記憶が消えないうちにMCを書き留めていたので、以下にカワノさんが語った内容を記す。記憶を頼りにしたものなので一言一句を完全再現できはしないが、ニュアンスだけは間違えずに残したいと思う。

「場所を変えれば、やり直したり、変わったり、できるんじゃないかと思って、いろんなとこに住んでみましたが、結局、どこにいてもまとわりつく苦しさがあって。何かに見られてるような気がして、恐ろしくなったり。

自分の殻に閉じこもると、楽なんですよ。でも、閉じこもって外から刺激を受けなくなるのも怖いなと思ってます。自分の殻に閉じこもったり、外に出てみたり、でも出たら打ちのめされてまた戻ったり。そんなことをね、もうずっと繰り返している気がします。これの繰り返しです。」

殻に閉じこもるか出るかという葛藤は筆者がかつてしていたもの(殻に閉じこもって安寧を得る道を選んだが、出た方がいいか?といまだに思うときもある)なので、同じようなことで悩んでいると知って親近感がわいた。ものすごい音楽家だと思っていたカワノさんは案外自分と離れた存在ではないのかもしれない。

そして、もう一つ語られた忘れられない言葉。

息苦しいと言えばあまりに簡単で、生きづらいと言えばあまりに大げさ。そういう苦しさがある。」

筆者は悩みやすい部分もあるが、生きづらいというほど深刻な悩みを抱えていない。CRYAMYの音楽は生きづらい人に向けられている気がしていたので、筆者がのめり込んでいい音楽ではないと思っていた。

初めて聴いたときからCRYAMYの音楽が大好きだと思ったが、筆者に向けられたものではなく、もっとしんどい状態にある人に向けられたものだと感じたから自分でセーブした。無意識のうちに、これ以上好きにならないように心にストッパーをかけたのだ。

神奈川公演で筆者がCRYAMYに沼落ちしたのは、このストッパーが外されたライブだったからだと思う。歌詞を読みこめば読み込むほど、生きづらい人に向けられた音楽なのではないかと思うのだが、カワノさんが生きづらいとまではいかない苦しさをとりこぼさないでいてくれたことが嬉しかった。

「自分がきついな、しんどいな、苦しいなと思っていることは、他の人から見ればしょうもないことなのかもしれないんですよ。僕の悩みなんて、しょうもないって笑われるかもしれない。

僕がここまで生きてこれたのはね、嘘かもしれないよ、嘘かもしれないですけど、「君は大丈夫だよ」って、「大好きだよ」って、「君は本当に優しいね」って言ってくれた人がいたからです。だから、そういうことを歌っていきたい。」

このMCを語って、4曲目は鼻で笑うぜの演奏が始まった。「でもね、君がそばにいて良かったって思うよ」という歌詞が心に響く。ライブではなくイヤホンで聴くときには、「金無い、職無い、何にもないやつにできることなんてないさ」とか、そういう苦しい歌詞の方に筆者は耳が向かう。でもライブで聴くと「君がそばにいて良かった」この歌詞がどうしようもなく心に響く。

MCでカワノさんの言葉をきいてから聴くからだろうか。それとも、人と一緒に聴く、ライブという空間がそうさせるのだろうか。生音の、生声の、ぬくさがそうさせるのだろうか。苦しい歌詞ではなくて、この優しい歌詞がこの曲のメインだったのかななんて思いながら心が救われていく。自分にもそういう人がいることに気づく。

でも、その最中「言えたのはごめんねだけ」という歌詞が心に画鋲を食い込ませる。大切な人に何もしてやれない苦しみがどうしようもなく食い込む。曲の終わりは、「でもね、君が、生きていて良かったって思うよ」。心に画鋲が刺さってるのに、その画鋲ごと包み込んでくれたような肯定感。苦しみと優しさで心がぐちゃぐちゃになる。いや、優しいから苦しいのか。

5曲目以降に関してはあまりメモが残っていない。当時の筆者はMCを書き留めて満足したのだろう。MCの感想が大半を占めるこの文章をライブレポと言っていいのか疑問だが、そもそも筆者は楽器の知識がない分、演奏がどうだったみたいな話はあまりできない。今後ライブレポの記事を書いたとしても、毎回こんなかんじになるだろうと思う。

12曲目のtenで本編が終わる。演奏は最初から最後まで爆音で、熱気のこもった空間だった。言葉を選びながら丁寧に紡がれるMCと爆音でぶち鳴らされる演奏のギャップが激しいライブだった。丁寧さと荒々しさが一つのライブで同居するってすごいことだ。

本編終了後はアンコールの手拍子が起こり、最初に登場したのはベースの高橋さん。「行けって言われたから出てきたんですけど」と言いつつ、喋り始める。ギターのレイさんが登場し、MCを頑張っている高橋さんを見て優しく笑う。ドラムの大森さんもこのタイミングかな。最後にカワノさんが登場し、「ちゃんと喋れてた?大丈夫だった?」と笑いながらフロアに問いかける。CRYAMYメンバーのあたたかい空気感が好きだ。

そしてカワノさんのMC。

「初めて武道館に見に行ったライブの最後のMCで「生きて会いましょう」って言ってて、それで俺ボロボロ泣いちゃって。「またね」じゃなくて、そこまでに「生きて」いることに意味があるんだなって。

でもね、こんなこと言うとよくないかもしれないんだけど、ライブ見て、明日も頑張ろうって思ってもらえたらそれは一番なんだよ、一番なんだけど、「今日ライブでいいもん見れたから明日死んでもいいや」って思われたら、それもそれで万々歳だなって思います。」

13曲目の完璧な国、14曲目のまほろばを演奏し、最後の曲へ。

「俺はね、俺が言うことを他人事だと思ってほしくない。自分のことだと思って聴いてほしい。俺みたいな、俺と同じような苦しさを抱えてる人はいると思うんだよ。そういう人に向けて歌います。」

15曲目は世界。この日は筆者にとってCRYAMYの音楽が他人事ではなくなった日だ。自分のことだと思って聴いて良いらしい。心のストッパーが外れた筆者は、建国物語の他の公演のチケットを取りまくった。筆者は東京在住だが、一番遠いところは福岡公演。もうどこにでも行ってやらあ。(結局15公演中10公演行った)

まとめ

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。だいぶ前のライブですが、ツアー完遂に伴って公開しました。ファイナル公演のレポを昨日公開したので、良かったらそちらもぜひ読んでみてください。

筆者はファイナル公演のMCで語られた「あなたが苦しいときも嬉しいときもそばにいたい」というカワノさんの言葉が異常に嬉しかったのですが、今回の神奈川公演のレポを改めて振り返って、異常に嬉しく思った理由が分かりました。

「自分よりももっと生きづらい人に向けられた音楽だから」と距離を置いた状態で聴いていた筆者が、「私は生きづらいというほどしんどい状況にはないけれど、CRYAMYの音楽は私にも向けられているのかもしれない」と思い直し、沼落ちしたのがこの神奈川公演でした。

神奈川公演で生きづらくない自分を肯定し、ファイナル公演で嬉しいときもある自分も含めて取り込んでくれたのが嬉しかったんだと思います。筆者にとって建国物語は、遠くの方から見守っていた筆者を近くに引き寄せて取り込んでくれたツアーです。
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