THE BOYS&GIRLS(通称ボイガル)のライブを見るために札幌遠征した、ただのファンによる2023年3月31日~4月2日の日記。これを読めば札幌に行った気分になれるかも。
《1日目》2023年3月31日金曜日
成田空港(東京)から飛行機に乗り、新千歳空港(札幌)に10時30分着。飛行機の窓から見た新千歳空港は、雨でべちゃべちゃに濡れていた。朝は雨が降っていたのかもしれない。空港から快速エアポートという電車に乗って札幌駅へ。車内では『涙の車窓から』を聴いた。この曲の歌詞には快速エアポートが出てくるのだ。
札幌駅を出た瞬間、雨で濡れた地面に太陽光が反射し、きらきらとした光が目に飛び込んできた。
ボイガルの音楽を好きになってから、札幌に来たくて仕方がなかった。ずっと来たかった気持ちと、札幌に向けたきらきらした気持ちが、きらきらしている景色とぴったり重なって、札幌に到着して間もないが、この時点で泣きそうだった。うわ~、来れたんだ~って。よかったね~、自分。ってめっちゃ思った。
宿に荷物を預けた後は、地下鉄で中の島駅に行き、ハードオフへ向かった。札幌に着いてまず向かう場所がハードオフというのは、ツッコミどころ満載かもしれないが、筆者には重要なミッションがあった。それは、ハードオフ中の島店でギターを買うことだ。
シンゴさんが今使っているギター(デビル)の前のギター(JJ)はハードオフ中の島店で8000円で買ったのだとライブのMCで言っていたことがあった。同じ場所で買って、ギターを始めたかった。
ハードオフに入り、値段で候補を3つに絞って、ギターを弾ける友人に写真を送った。「どう思う?」と聞くと、「良さそう!」と返事をくれたので、その中で一番傷の少ないギターにした。
ハードオフでアコギとハードケースを購入し、近くの100円ショップで梱包材とハサミとガムテープを購入。店の前のベンチでハードケースの中に梱包材を詰める作業をした。近くの郵便局から東京の自宅へ郵送する計画だ。
梱包作業をしていると、隣のベンチに座っていたおじちゃんに「ギター弾くの?」と聞かれたので、「これから始めるんです!今そこのハードオフで買ってきたところで!」と答えた。「そうなんだ」と笑って、「チューナーも買わないとチューニングできないよ」とか「札幌だと大通公園とかで弾いてる人よくいるよ」とかいろいろと教えてくれた。
筆者は話を聞きながら、おじちゃんの手元を確認した。ウイスキーを持っていたら、『ブリッジ』という曲に出てくるおじちゃんの可能性がある。結論から言うと、持っていなかった。NOTブリッジおじちゃんだ。何の話やねん。
なんか、こういうの良いな~と思った。ギターって、持っているだけで知らない人と話すきっかけになるアイテムだと思う。犬を連れている人に「かわいいワンちゃんですね」と話しかけるのと同じかんじで、ギターを持っていると「ギター弾くんですか?」という会話が発生する。これから面白い出会いが生まれるかもしれないと思うと、ワクワクした。
ギターを始める人の9割が挫折するらしいから、筆者がどこまで弾けるようになるのかは分からないが、いつか弾けるようになったら、また札幌に来て、大通公園や豊平川の河川敷でボイガルの曲を弾いてみたいと思っている。札幌の空気を吸いながらボイガルを弾けたら、たぶん、最高に気持ち良いだろう。夢だ。
郵便局から無事にギターを郵送し、幌平橋の近くの河川敷で豊平川を眺めた。幌平橋は『ブリッジ』の由来になっている場所である。ここは一度来たことがあるので、今回はついでに寄っただけだ。少しゆっくりしてから、ライブの開場時間から逆算して、移動することに決めた。
すすきのの街中に戻り、南3西4のモスバーガーで腹ごしらえをしながら、ライブの開場時間を待った。今日のライブ会場はmoleである。moleのもぐらのあなという配信番組を見ているから、なんだかんだ札幌のライブハウスの中では一番親近感がある。初めてのmoleがとても楽しみだった。
時間が迫り、moleの前に行くと、ユアキャンバスツアーの札幌公演で仲良くなった友人らがいた。札幌のバンドマンがよく弾き語りをしているのはこのあたりだよ~と教えてもらって、写真を撮ったりした。
企画名はフルジックステーション2。みなみという札幌のバンドが企画したイベントだ。ボイガルがトッパーで最高だった。ほとんど初期曲、という珍しい構成で、札幌感が多く、めちゃくちゃグッときた。昔ながらの札幌の仲間達とのイベントだったからだと思うが、筆者には自分のための選曲のように思えた。最高である。
札幌のライブハウスで札幌のバンドたちのライブを見れたことも、とても嬉しかった。これぞ札幌の夜。配信のアーカイブが14日まで視聴できるので、ご興味の方はぜひ。
ライブの後は友人と寺を巡った。ボイガルの『すべてはここから』という曲に、「今日も聴こえるぜ朝6時の鐘」という歌詞がある。これが寺の鐘だということだけ分かっていたので、札幌内の寺を周って、大きな鐘があるかどうかを確認しながら、結局5か所くらい行った。
「鐘のある寺探そうぜ!」と発案する筆者もやばいが、お酒を片手に、謎の寺探しにニコニコとついてくる友人もなかなかにやばい。
1か所だけ鐘がついていたので、札幌滞在中に朝6時に鐘が鳴るかを聴きに来ることを心に誓った。朝6時に起きられるかは知らない。
深夜0時に近づいた頃、テレビ塔に向かった。なんと0時にボイガルの新曲『よーいドン』が配信リリースされるのである。この曲が解禁されたときは札幌で聴いたな~という思い出が一生ついてくるのかと思うと、とても嬉しかった。
0時になる瞬間をテレビ塔のデジタル時計で確認し、友人のスマホで再生。二人で「うわ~!!!」とか「ここやばい!!!」とか言いながら聴いた。ひとこと言っていい?この曲、めちゃくちゃ好き。
終電間近の友人と別れ、宿に戻り、1日目を終えた。忙しすぎてモスバーガーしか食べていないの、さすがに今日という日を楽しみすぎである。
《2日目》2023年4月1日、土曜日
目が覚めたら札幌だった。なにこれ幸せすぎか。昨日モスバーガーしか食べていなかったから、めちゃくちゃお腹が減って、半田屋へ行った。おじちゃんとおばちゃんしかいないような24時間営業の大衆食堂(チェーン店)である。
札幌名物が食べられるお店はいろいろあると思うが、今回は観光地ではなく生活する場として札幌を見て周りたかったから、あえてここにした。わかめご飯がおいしすぎた。
朝ごはんを食べた後は、カナリヤという手芸屋さんと、ジュンク堂書店へ向かった。このあたりはシンゴさんがティッシュ配りのアルバイトをしていた場所で、そのときに見ていた景色が『歩く日々ソング』の元になったというインタビュー記事があったから、絶対に来たい場所だった。
『歩く日々ソング』をイヤホンで聴きながら、このあたりを歩いたのだが、あまりにも“生活”であり“日々”だった。この楽曲には、ただの街としての札幌が描かれている気がした。ただの街なんだけど、札幌独特の空気感があるっていう。
なんというか、雪があるから札幌なんじゃなくて、雪がない時期も札幌なわけで、通年にわたって流れている札幌独特の空気がある。何月に来ても、あ~札幌だな~ってなるあのかんじ。この空気感を閉じ込めたのかも、と思えた体験だった。
カナリヤでは記念に紐を買った。中の島で買ったギターにストラップをつけるとき、この紐でギターとストラップを結ぶのだ。我ながら良案。
ずっと行きたいと思っていた音楽処というCDショップにも行った。高橋優というシンガーソングライターの聖地で、店内には優さんのギターが置いてある。北海道のインディーズをつなげていきたいという思いのこもったギターで、Twitterにはシンゴさんがこのギターで優さんの駱駝という曲を弾き語りしている動画が音楽処のアカウントから投稿されていた。
何を隠そう、筆者が高校生の頃、初めて好きになった音楽家が高橋優である。筆者は現在27歳。今はボイガルにどっぷりであることを考えると、音楽処は過去と現在を繋ぐ不思議な場所のように思えた。設置してあったノートに想いを書き残し、優さんのギターと写真を撮ってもらった。
朝からめちゃくちゃ楽しんでいるが、この日のメインイベントは札幌のサーキット「IMPACT!」である。リストバンド交換の時間になったので、zepp札幌に向かった。サーキットはいろいろなバンドを見られるのが楽しいが、1日で複数ヵ所のライブハウスを楽しめるというのも筆者的にはめちゃくちゃ嬉しいポイントだ。SUSUKINO810もSPiCEも行ってみたいライブハウスだった。
そして、ライブを見る以外に、ひとつやりたいことがあった。それは“ラブホ街をひた走ること”。『合言葉を胸に』という曲に「ラブホ街をひた走った」という歌詞があるのだ。これはSPiCEに向かった時に書いた歌詞だということをシンゴさんがツイートしていたことがあったから、サーキットの会場に目を通して、SPiCEがあると分かった時点で、実行する大チャンスだと思った。
次々と現れるラブホの看板にスマホを向け、動画を撮りながらラブホ街を爆走。かなり臨場感のある仕上がりになった。(何してんだ)
友人に送り付けたら、「臨場感が凄すぎてパルクールみたいになってるよ」と返信がきてめちゃくちゃ笑った。車のナンバーなどが映ってしまっているので、ここには載せられないのが残念だ。すごく面白い映像なんだけどな(笑)
IMPACT!の大トリを飾ったボイガルのライブは、めちゃくちゃかっこよかった。シンゴさんが途中でステージの左側からフロアに降り、後ろまで行って歌い、「右側から帰りたい!これ、マイクの線持ち上げてくれる?!」と言うもんだから、ステージからフロア後方まで伸びたマイクの線を、フロアのお客さんたちで左側から右側へ頭上を渡した。シンゴさんはハイタッチを交わしながら無事に右側から帰って行った。
zeppという広い会場でお客さんを巻き込みながら、スタッフさんを巻き込みながらの大円団。人を愛し、人に愛され、人とともにあるバンドだなと思ってにこにこしながら見た。札幌のロックバンドとしての熱い思いも心に刻み付けられた。一番かっこいいぜ、ボイガル。
ライブ後はラーメンを食べて宿に戻った。雨が降っていた。
《3日目》2023年4月2日、日曜日
朝6時、札幌の街。なぜこんなにも早起きなのかというと、筆者は“朝6時の鐘”が聴きたかった。31日に友人と見つけた、鐘のある寺に行こうかと思ったが、直前に「札幌 毎朝6時 鐘 寺」で検索したら、それっぽい寺が出てきて、こっちかもしれないと思い直し、友人と見つけた寺ではなく、その寺に行くことにした。大裏切りである。ごめんな(笑)
そんなわけで、朝6時にその寺の前に突っ立ってみたのだが、結果だけ言うと、鐘は鳴らなかった(笑)チクショー!この寺ではなかったか!!!次に札幌に来たときは「友人と見つけた寺」の方に行ってみたいと思う。
せっかく早起きしたので、朝ごはんとしてディナーベル(24時間営業のスーパー)でパンを買い、創成川のほとりで食べた。創成川は札幌の街中を流れている小さな川だ。川のそばの階段に座り、最高のロケーションを味わったが、それは束の間だった。
パンの袋を開けた瞬間、カラスと目が合って、気づけば2羽のカラスに挟まれていた。カラスからパンを守るために、川の中に設置された飛び石に移動して、パンを食べた。なるほど、札幌の朝はサバイバルである。
朝ごはんを食べた後は、『メル』という曲の元になったmeLL flowersというお花屋さんがあった場所に向かった。この話は長くなるので、別の記事で投稿する。興味があったら読んでほしい。
メルの後は豊平川沿いを歩き、「最低な一日」(ボイガルがライジングサンという北海道のフェスに呼ばれなかったときにひっそりと開催されていた催し)の場所に行った。最低な一日も楽しそうだが、ボイガルを見るならやっぱりライジングだなと思った。その時が来るのが楽しみだ。
そのまま中島公園を通り、すすきの周辺に戻ってきて、『今日のうた』という曲に出てくるラフィラという建物の跡地と『24』という曲に出てくる4プラの跡地に行った。工事中っぽい白いつい立で囲われていて、よく分からなかった。
午後15時に友人と喫茶店で待ち合わせをして、空港に向かわなければならない18時頃までおしゃべりをした。いま就活中で、上京を夢見ている友人。ライブを見るのが大好きだから、ライブハウスのたくさんある東京に行きたくして仕方がない、それがあるから就活も頑張れるのだと目を輝かせながら言っていた。
筆者は東京に住んでいるが、逆にボイガルのいる札幌という街に住みたくて仕方がないので、もう交換しようぜという気持ちになった。でもたぶん、お互いにないものねだりなのかもしれないな。友人と次に会うのは東京のライブハウスだろう。そんな日々もまた楽しみだ。
友人と別れて、快速エアポートに乗り、空港へ向かった。空港に着くと、保安検査場は長蛇の列で、誰もが「うわ~、こんなに並んでるのか」と言いながら列に加わっていった。筆者はというと、その列に並びながら吐きそうになっていた。札幌を離れるのが寂しすぎる。離陸直前に吐き気がするほど、札幌に惚れてしまったのかもしれない。やばすぎる。
ハリーポッターを大好きな人が、ユニバ内にあるハリーポッターの街みたいなところに行ったら、目に映るものすべてがキラキラして見えると思うのだが、ボイガルを大好きな人が札幌に行くというのは、それと同じようなことなのだと思う。というか筆者がそんなかんじだった(笑)そりゃ離れたくなくなるんじゃんね。
道外に住んでいて、札幌をよく知らない状態でボイガルの音楽にハマって、その後に札幌に行くと、札幌の街中にボイガルの音楽が染みついているようなかんじに見えるのだ。筆者の視点は、ボイガルの音楽から札幌の空気を知った人の視点なのだと思う。音楽ってそんなこともできるんですね。なんか、すごいや、ボイガルって。
そうそう、保安検査場で吐きそうになって、どうしたかというと、イヤホンを耳に突っ込んでずっとボイガルを聴いていた。聴けば聴くほど札幌から離れたくなくて寂しくなるから、逆効果なのだが、1曲、凄い曲があることに気づいた。
『パレードは続く』
あのね、この曲、凄い。びっくりするくらい、スーッと吐き気が止んだ。吐き気を基準にして申し訳ないけれども(笑)吐き気が鎮まっていくのを感じながら、(あ、この曲は明るいエンドロールなんだ)と思った。
歌詞に別れや終わりを彷彿とさせるような言葉は使われていないけれど、パレードは“続く”という言葉は、終わりを意識してしまったときに出る言葉だと思う。アニメが終わるとき、最後に「続く」と表示されるのは、その回が終わるからだ。つまり、この曲は終わりを意識しながら、その寂しさもメロディで表現した上で、「続く」と前向きに歌ってくれる曲なのだ。だから、明るいエンドロール。
“寂しい”で埋め尽くされた心を、『パレードは続く』という曲が行進していって、気持ちを前に持って行ってくれた。東京に着いたら、翌日にギターが届く。しばらくはそれで楽しめるだろう。よし、大丈夫だ。
ボイガルの歌は東京の街まで聴こえてる。
終わりに
ここまで読んでいただきありがとうございました。完全に個人的な日記になってしまいました。読んだ人にちゃんとメリットのある文章になっていたかと問われると、自信がない…(笑)
筆者が札幌をめちゃくちゃ楽しんでいる様子が伝わって、読んだ人もにこにこできるような記事になっていれば嬉しいです。
それにしても、音楽きっかけでこんなに好きになる土地ができるなんて、思ってもみませんでした。完全に札幌に惚れてしまった。『すべてはここから』の「この街とこの夜に恋をするだろう」という歌詞が現実に…(笑)
また必ず行きたいです。それまではボイガルが札幌の空気を連れてきてくれるはず。次にライブを見れるのはGWに東京の代官山で開催されるボイガル企画“ノロシヲアゲロ”。5月まで耐えるぞー!おー!!!
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