【ムロフェス2022】ライブレポ【それでも世界が続くなら】

MURO FESTIVAL 2022 7/23(土)の記録。初めて見て心に刺さった「それでも世界が続くなら」というバンドのライブをレポートします。

もくじ 

1.はじめに
2.ライブレポ
3.まとめ

□1.はじめに

筆者はただの音楽ファンなので、気軽に読んでいただけますと幸いです。ムロフェスというサーキットが開催され、筆者は初参加。できるだけ知らないバンドを聴きに行くという目標をもって回りました。

その結果、出会ったのが、それでも世界が続くならです。Twitterで検索したら、「それせか」と省略して呼んでいる方を多数お見受けしましたので、それせかという略称で感想を綴っていきたいと思います。1曲も知らない状態で見たのですが、完全に惹き込まれました

それせかと出会った瞬間のことを残しておきたくて、この文章を書きます。お付き合いいだけますと幸いです。

□2.ライブレポ

ムロフェスの最後を締め括る20:30以降の時間帯は、あえて知らないバンドを見に行こうと思い、それせかのステージを選んだ。イマイチだったら1曲だけ聴いて出ればいいか、くらいのテンションで、途中から見に行った。

昼からずっとサーキットを回っていて、疲れていたし、下手の壁にもたれながら聴いた。1曲も知らないままライブを見たが、1曲目で既に(歌詞の良いバンドだな)と思った

聴いたことのない曲をライブで聴く場合、歌詞を聞き取れないことが多いと思うのだが、それせかはその壁をクリアしていた。今回は曲名を知らないままライブを見たため、聞き取った歌詞だけをもとに感想を書いていく。

まず耳に入ってきたのは、「手首にはたくさんの傷」という歌詞。筆者は暗い音楽家および暗い歌詞が好きなので、暗いことは全く問題ではない。むしろ惹かれる。が、かなりストレートな歌詞を書くバンドだなと思った。

そして、「自分が一番どうでもいい それが一番楽だね 何も感じなくて当たり前だよ そうやって自分を殺せたら」という歌詞が耳に入ってきた。さいきん自暴自棄になっている様子の友人が頭に浮かんだ。

違う曲では「嫌われてないよ。大丈夫さ そんなにお前を気にもしてないよ 分かってんだよ でも、何故か怖いんだ」という歌詞が耳に入ってきた。この歌詞は自分と重なるところがあった。

筆者は良い人だねと言われることが多いけれど、当たり前なのだ、嫌われるのが怖くて必死だから。人と話した帰り道に、やたらと「あんなこと言わなきゃよかった」と脳内で反省会をしてしまうのは、嫌われるのが怖いからなのだと思う。このバンドをものすごく身近な存在に感じた

このあたりで、筆者はそれせかに惹き込まれていって、今日は最後までライブを見ようと思うようになった。壁にもたれながら聴くのをやめて、前から2列目ぐらいまで移動して聴いた

「苦しくていい。慣れてるから。悲しくていいよ。慣れてるから。」という歌詞も耳に入ってきて、別の友人が似たようなことを言っていたから、その友人が頭に浮かんだ。この歌詞を聴いたとき、「慣れてるから」という言葉は、一見すると、“大丈夫”という意味に聞こえるが、本当は“助けて”なのかもしれないと思った。

初めて聴いて、ライブで聴きとれた歌詞だけでも、心の陰に寄り添ってくれるバンドだと感じた。最初は“ストレートすぎる”と思ったが、ストレートだからこそ、ライブで初めて聴いてもすぐに意味がわかったし、初見で惹き込まれるという体験ができたように思う。

ライブハウスの大きな音で聴けたのも良かった。かっこいいロックバンドとして出会ったから、暗い気持ちになりすぎずに、半分楽しい気持ちで聴けた。暗いバンドというよりも、かっこいいバンドとして出会えたのは、個人的にはかなり嬉しい。

MCで何を語るかというのも、筆者としてはすごく重要なのだが、それせかはMCもすごく良かった。一番好きだったMCは、「生きることは素晴らしいなんて言えないけど、あなたが生きていて、俺の、音楽を、聴いてくれた」という言葉(※ニュアンス)。こんなかんじで、途切れながら、切実に語っているのが印象的だった。シンプルな言葉だが、シンプルだからこそ、嘘偽りないと思える。誠実で切実な言葉だと思った

そして、もう一つ、筆者の心を惹き寄せた出来事が起こったのは、本編終了後。最後の曲が終わり、メンバーが退場した後も、フロアからの拍手は鳴りやまなかった

ステージのトリなので、鳴りやまない拍手は、自然とアンコールの手拍子に移行していった。筆者としても、もっとこのバンドのライブを見たかったから、とても嬉しかった。アンコールに応えてメンバーが再入場

ステージに戻ってきたボーカルは、震えたような声で「こんなことってあるんだ…」と信じられない様子で呟いていた。メンバーからちゃんと喋るよう促され、喋り始めたものの、「こんなことってあるんだ…」と繰り返したり、「このバンドは今日うまれたのかもしれません、いや、何言ってんだ…」と自分で自分が分からないみたいなかんじになっていた。

ステージのトリであるバンドにアンコールを求められることは、それほど珍しいことではない。だからこそ、アンコールに対して、ボーカルが声を震わせるほど感動している姿が不思議だった。ただ、謙虚な姿勢と、お客さんの「もっとライブを見たい」という思いを真っ直ぐに受け止めてくれる心の柔らかさが、とても素敵だと思った。

もしかしたら、紆余曲折をこえて、やっと迎えられた日だったのかもしれないが、筆者はそういったバンドの経緯を知らないまま、見ていた。でも、何かあったんだろうなと思わせるような雰囲気があって、自分は初見にして神回に出くわしたんだろうなとぼんやり思った。

そして、うろたえるボーカルを受け止めて、安心させるように、称えるように、あたたかい拍手が何度もフロアから起こったのも印象的だった。お客さんがとてもあたたかかった。お客さんにとても愛されているバンドだということも感じた。「ありがとう」と何度も言うボーカルと、何度もあたたかい拍手を返すお客さんたちのやりとりが、とても素敵だった。

フロアからのあたたかい気持ちを受け取って、それせかのボーカルは、「諦めることは、諦めた方が良いですね。」と優しくはにかんだ。「前のめりに生きていこうと思います。」と真っ直ぐに言うのを見たときには、さっき知ったばかりの人なのに、なんだかとても嬉しかった。音楽も、お客さんも、そしてこの人自身も、とても魅力的だと思った

わずか数十分のライブで、筆者の心は持っていかれてしまった。音楽はもちろん、音楽以外の出来事も含めて、魅力的すぎた。その場でサブスクがあるかどうかを確認し、聴きながら帰った。

まとめ

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。ライブを見ているときの感情をできるだけそのまま表現したくて、曲名をまったく出さないライブレポにしました。とはいえ、いまは曲名を把握できているので、ここでご紹介します。

・『水色の反撃』
ライブで耳に入ってきた「手首にはたくさんの傷」「自分が一番どうでもいい それが一番楽だね 何も感じなくて当たり前だよ そうやって自分を殺せたら」という歌詞は、この曲の歌詞です。

・『参加賞』
ライブで耳に入ってきた「嫌われてないよ。大丈夫さ そんなにお前を気にもしてないよ 分かってんだよ でも、何故か怖いんだ」「苦しくていい。慣れてるから。悲しくていいよ。慣れてるから。」という歌詞は、この曲の歌詞です。

それせかを知らずにこのライブレポを読んでいる方がいらっしゃいましたら、レポと合わせてこの2曲を聴いていただければと思います。東京でのライブが多そうなので、筆者はまたそのうちライブに行けたらいいなと思っています。良い出会いをくれたムロフェスに感謝!
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