“超感覚”ライブレポ【Hyuga/climbgrow/The Over Sensation】

本記事では、2021年1月31日(日)に滋賀B-FLATで開催された、The Over Sensationの自主企画”超感覚”についてレポートします。Hyuga、climbgrowをゲストに迎え、昔馴染みの3組が揃いました。

もくじ

1.はじめに
2.Hyugaレポ
3.climbgrowレポ
4.The Over Sensationレポ
5.まとめ

□1.はじめに

せっかく昔馴染みの3組が揃ったので、関係性を一応お伝えしておこうと思います。滋賀B-FLATで高校生の頃からライブをしていたのが、climbgrowとRocket of the Bulldogs(略称RotB)というバンドで、このRotBというバンドは解散しましたが、ボーカルであるHyugaがソロで再スタートを切りました。そして、The Over Sensation(略称オバセン)のボーカルはRotBのギターの弟にあたります。この情報は音楽を聴くにあたって関係のないことなのですが、この関係性を知った上でレポを読んでいただいた方が、意味の増すMCがありましたので、一応、紹介しました。筆者は、仲良しこよしで終わらない、それぞれの今がぶつかり合う、それが対バンだと思っています。この日はどんな対バンになったのか。良かったらこのままお付き合いください。

□2.Hyugaレポ

セトリ

①冬陽
②息吹く
③風よ吹け(不可思議/wonderboy)
④生きる(不可思議/wonderboy)
⑤seasons of love
⑥蒼く燃える
「言葉は、手紙に書いて伝えてもいいし、インターネットを通じて伝えてもいい。それぞれの方法で伝えればいい。僕は、バンドを解散してから、舞台に立ったり、音楽とは別の活動をしました。これはちがうなとかは思わなくて、ぜんぶ楽しかったけど、やっぱり、音に言葉をのせるという方法が僕は一番しっくりきました。」という内容を話し、「ど真ん中めがけて、一生懸命歌わせてもらいます。」という一言から、一曲目のトラックが鳴り始めます。もう、筆者としてはこの冒頭の言葉で持ってかれたなという気持ち。筆者は文章が好きで、それが一番伝わると思っているのですが、彼にとってはそれが音楽なんだろうなと思いました。ちゃんと受け止めよう、と聴き手に思わせる言葉を伝えてから、彼が最も得意とする表現手段である「音楽」を鳴らすというこの流れに惹き込まれました。空間を自分の空気にする、空間掌握力がすごいです

今回は、カバーが2曲あって、曲の前に、不可思議/wonderboyに関するMCがありました。この音楽家は24歳で亡くなっていて、Hyugaとして再スタートを切ったのがちょうど24歳なので、思うところがいろいろとあるようです。「23歳でいまだに実家」「いまここに見る売れないラッパーの限界」という歌詞が頭に残りました。24歳で亡くなるとは全く思っていない歌詞で、ひたすらに夢に向かう姿しかない。その姿がHyugaに重なり、歌詞に、音に、重なっていく。時を超えてHyugaと不可思議が共鳴しているかんじがしました。…なんか君の名は。みたいな世界観になってきましたね、このレポ。(笑)

それから、絶対に残しておきたいMCがあったのでここに要約を記しておきます。

「バンドを解散して、腐っていた時期があって、他のバンドの活躍を素直に喜べない、最悪な状態になっていた。このままじゃだめだと思って、毎日1曲ずつ投稿し始めた。最初はありがたいことに見てくれる人がいるけど、毎日投稿していたらだんだんスルーされるようになって、15回しか再生されなかったときもあって。そのうち10回はちゃんと投稿されてるか確認するために自分が見た10回で(笑)そうしたら、5回しか見てもらえてないことになる。1人が5回見てる可能性もあるし5人が1回ずつ見たかもしれないし、それは分からないけど、僕はこの5人に1mmも感謝してなくて。5人しか見てへんわって。でも、この5人を大事にせなあかんのちゃうか、この5人にこそ感謝しようって思い始めてから、僕の人生は変わっていきました。」

…もうね、完敗。この人のファンになると、ものすごく大事にされている感覚があります。この日からTシャツの販売があったのですが、そこに紙袋をつけてくれていて。わざわざ雑貨屋さんで買ったような可愛い紙袋。物販でTシャツを買って紙袋をさげて「かわいい!」とか「手がふさがらない!気遣いすご!」とか言っている来場者たちの嬉しそうな顔をみて、本当にすごい人だなと思いました。

音楽の話をしなさすぎて、レポとしてどうなの?ってかんじですが、MCへの思いだけで文字数がえぐいことになっているのでもう締めます。今回のライブは、MCと音楽を合わせて味わったときに、人の感情を大きく揺さぶるものでした。ライブ後の物販でも、ライブ中に言っていた言葉と重なる行動や考え方が見えました。全部トータルして、Hyugaを表現されたような気持ちです。何をやっても表現者。もう応援するしかありません。

□3.climbgrowレポ

セトリ

リハ:ラスガノ、新曲(?)
①DOOR
②THIS IS
③LILY
④くだらない
⑤閃光
⑥MONT BLANC
⑦窓
⑧風夜更け
リハでステージに入ってきた泰誠さんが革ジャンを着ていて、直前までPOODLEのMVを見てたせいか、革ジャン姿にやたらとテンションがあがりました(笑)そして、リハでラスガノの次に演奏していたのが知らない曲だったので、作成中の新曲かもしれません。インスタライブでチラ見せのあった曲ともまた違ったので、新曲その2かも。オフマイクだったので歌詞は全く分かりませんでしたが、めちゃくちゃかっこいい曲だったので期待大です。

本編は、お決まりの「その先で待ってるぜ」という言葉とももに、DOOR始まりです。一緒に行くんじゃなくて、先に行って待ってるってめっちゃクライムっぽいですよね。THIS IS、LILYをぶちかまして、MCに入ります。

泰誠さん「オバセン、企画呼んでくれてありがとう。後輩はかわいいけど、生意気な奴です。特にボーカルとギターが憎たらしいです。オバセンのときガン飛ばしといてください。あいつら緊張するんで(笑)オバセンの前のバンド名なんやったっけ、チェリーブロッサムみたいなやつ。Hyugaの前の前?のバンド名がロクページみたいなやつ?俺らの前のバンド名がナカムラ…ナカムラ…なんやったっけ?ナカムラBUMP OF CHICKENみたいなやつです(笑)くそダサい(笑)かぶらんしええかなと思ったけどBUMP OF CHICKENの時点でもろかぶりやったわ(笑)」
→後輩のことをなんだかんだ可愛がってるのがダダ洩れでほっこりしました(笑)バンド名のくだりは「なんやったっけ?」とオバセンやHyugaに問いかけていてアットホームなかんじでした。ところでナカムラBUMP OF CHICKENって何???

こんなかんじで懐かしい話をした流れで、「懐かしい曲やります。」と言って始まったのが3曲目、くだらない。生で初めて聴きましたが、かっこよすぎて心臓の前で手を握ったまま離せませんでした。その手で自分の高まった鼓動を感じようと思ったけど、音の振動でよく分からず(笑)くだらないが終わると、「この一瞬!この一瞬!」と泰誠さんが何度も叫び、4曲目、閃光。この部分、閃光オタクの友人が、久々に演奏したくだらないの余韻に浸っている観客を今この瞬間に引き戻すためのあの叫びだったのではないかとアツく語っていて、そうかもしれないなと感じました。昔の曲をやって、レア度で喜ばせるだけではなくて、今の曲でしっかりぶち上げるあたりが、今を生きるライブバンドというかんじがして、最高です。

5曲目がMONT BLANCでエモパートに突入し、続けて6曲目は窓です。じっくり味わえる5曲目がめちゃくちゃ良かったのと、特筆すべきは、窓の演奏中に挟まれた、「届けばいいな」という泰誠さんの言葉。現在、窓に込められた思いについて全力解析中(いつか記事を出したいと思っている)なので、この一言は筆者にとって大きくて、窓は届けるための歌だったんだなと思いました。窓の内側から去っていくのを見ることしかできなかった誰かに届けたい思いが込められているのかもしれません。泰誠さんの、こういう曲中に挟まれる一言ってめちゃくちゃ良いですよね。泣ける。

ここで風夜更け前に入ったMCが良すぎたので記録しておきます。

泰誠さん「最近、いろいろ考えることがあるんですけど、自分でも、丸くなったなと思ってて。もっと尖っていかなあかんのちゃうかと思ったりもして。自分の昔の曲をきいたりして、考えて、考えて、右往左往してるのは誰やと思って。変に尖らなくても、芯が一本通ってればいいって思ったんすよね。」→風夜更けへ。

もう、辿り着く結論が大正解すぎて推すしかないです。筆者的には、なんだかんだでクライムは器用なところがあるような気がしていて、「尖れ」と言われれば尖れるし、「優しい曲を」と言われれば優しい曲もつくれるバンドかなと思っています。ただ、不器用なのもクライムの特徴だと思っていて、ニーズに応えられる器用さを持ちながらも、そこに重きを置かず、「そのとき表現したいことを表現する」ことに重きを置いていてほしいというか、ニーズに合わせるのではなくて、自分を表現してほしいと筆者は思います。器用なのに泥臭いのがクライム独特の魅力を生み出しているような気がするので、和嗣さんはニーズを捉えて器用に応えるとクライムが更新されていって良いかもしれませんが、泰誠さんはそのとき伝えたいことを自分の思うままに表現した方が良いのかなと筆者は思っています。その方が、逆に泥臭さが消えないんじゃないかなと。何が言いたいんだろう、この文章は。(笑)幸せになる、丸くなる、あなたも含めて、杉野泰誠の表現を私は見たいです

□4.The Over Sensationレポ

セトリ

①プロパガンダ
②対流圏
③NOROSHI
④針
⑤遍歴を成す
⑥車窓
⑦オルタネーション
⑧瞳、朝へ
⑨求心力
アンコール:プロパガンダ
彼らのライブを見たのは3回目になります。曲を聴き込めていないので、一曲ずつの感想はお伝えできないのですが、オバセンの音楽、ライブは、降り注いで流してくれるというか、浄化されるというか、シャワーみたいな印象があります。Hyugaが対話(平行)、クライムがぶち上げ(上に引っ張りあげる)だとすると、オバセンは、降り注ぐ(下に洗い流す)イメージ。言葉と音が降り注いで嫌なものを流してくれるかんじがします。それから、MCで「このライブでは目標があって。友達の弟としてではなく、自分として見てもらえるように精一杯やりたいと思ってます。」という言葉がありました。普段は言う機会がないと思うので、ライブってやっぱりおもしろいなと思いました。言葉にしたことによって、そしてその気持ちものせて音を鳴らしたことによって、また3組の関係性がより強固なものになっていくのかもしれません。もう3組みんな幸せになってほしいなという気持ち。あと、アンコールで出てきて「泰誠さん、あんまり褒めてくれないんですけどプロパガンダはめっちゃ良いって言ってくれて。だから、プロパガンダやります。」と言っていたのが胸熱でした。泰誠さんに褒められるのめっちゃ嬉しいんだろうな(笑)この日、機材トラブルになったとき、袖で助けている泰誠さんが見えたのですが、それも胸熱でした。初めての45分間のライブをやりきったオバセン。1回目、2回目とライブがどんどん良くなっています。今後が楽しみです。

□5.まとめ

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。系統がそれぞれ違う3組なので、通しで読むとまとまりがないレポになったかもしれませんが、それぞれの良さが光った企画でした。仲良しだけど、それ以前にライバルでもあり、とても素敵な関係性だなと思いました。Hyugaの公式YouTubeアカウントで、この日のVlogが公開されており、3組とも出てくるので、ここでおすすめしておきます。オフショットが全員かわいいので必見です。
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