ボイガルと私のはなし

2025.7.18 THEBOYS&GIRLS × SHELTER《FROM SAPPORO 2MAN》 w/FINLANDS と日々の話。

昨日、久々にボイガルのライブに行った。最近の私のモットーは、「抜け出したいなら、踏み出すしかない」である。ライブにはあまり行かず、ひたすら勉強している。

息抜きは、友達と遊ぶこと。家の近くの河川敷に友達を呼んで、ギターを弾いたり、ごはんを作ったり、お酒を飲みながら喋ったり。そういうことが、今は一番楽しい。

そんなわけで、最近はライブのチケットを持っていない生活をしているのだが、今回は、対バン相手が解禁された瞬間に、ボイガルとFINLANDSを好きなフォロワーさんが声をかけてくれたので、久々に行くことにした。

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FINLANDS、めちゃくちゃかっこよかった。
恋の切なさに身を切られながら、それに負けない強さがあるから好きだ。
でかい音でこのバンドの曲を全身で聴くと、本当に最高の気持ちになる。あと、ボーカルの塩入冬湖さん、めっちゃ好き。かっこいい人がかっこよくいてくれることって救いだ。

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ボイガルの楽曲には、たくさんの思い出がくっついており、フラットには聴けない。特に離婚前の思い出ばかりだから。ライブだとどういうふうに聴こえるんだろう、という興味のもと、私はフロアの端に立っていた。

1曲目、二子玉川ゴーイングアンダーグラウンド。

もう、これ、これ…
思わず口元に手をあててしまった。
嬉しいとかそういう明確な感情があるわけではなく、ただ心打たれた。
心震えた、の方が近いかもしれない。

「夜を渡る ボラが一匹飛び跳ねる」
「自転車に乗った家族が街へ行く」

歌詞のひとつひとつが、強烈に鮮やかな色を心の中でぶちまけていた。
ああ、全部、全部、知っている。
ボラの飛び跳ねるさまも、着水するときの音も、家族連れが多いことも。

なぜなら私は今、二子玉川に住んでいる。

離婚することになって、地元である京都に戻ることも考えたが、仕事の都合上、東京からは離れられなかった。でも、東京のことは全然知らない。行く宛など無かった。

だが、二子玉川ゴーイングアンダーグラウンドという曲だけは知っていた。
二子玉川には素敵な河川敷があることも。
それで、二子玉川に住むことにした。

二子玉川に引っ越して、初めての一人暮らしをして、新しい職場がきつくて、でも、休日も、仕事終わりも、いろんな友達が河川敷に遊びにきてくれて、その時間はゲラゲラ笑って。

苦しいことも、つらいことも、嬉しいことも、楽しいことも、全部が二子玉川で巻き起こっていた。2024年10月からずっと。

物凄い感情でこの曲をライブで聴けたことが嬉しかった。こんな聴こえ方になったのは、私が頑張ってきたからだし、ここまで歩いてきたからだと思えば、今までの全部を抱きしめたくなった。

「二月の風に吹かれて笑ってよ」

うん、二月の風も、私は知ってる。
極寒の中、河川敷に会いに来てくれた友人たちも、たぶん知ってる。

「電車の窓 映る多摩川と」

うん、この景色も知ってる。
電車の中からよりも、河川敷から電車を見ることの方が私は多いけど。夜になると窓が光って見えて、すごく綺麗なんだ。

シンゴさんの声で届けられる歌詞のひとつひとつを、心の中の記憶と結びつけながら、大事に大事に抱きしめた。

この曲があったから、私はここに住もうと思ったし、この場所だから、友達が遊びに来てくれて、こんなにも人に囲まれながら生活できているのだろうと思うと、本当にこの曲があって良かったなと思う。

河川敷特有の、気楽さが好きだ。いつでも来てねって言えるし、友達も、来たい時にふらっと来てくれているように思う。この曲を聴いていると、

「俺この場所めっちゃ好きなんだよね」
「こういう良い場所があるらしいよ」

みたいな会話をしているような気分になる。勝手に聴いて、勝手に大事にしているだけだけど、感情が伝達して、人から人へ繋がっていくのは、“表現すること”が生み出せる、面白い物語だなと思う。いろんなことが、意図せず、繋がっていく。

*

私の努力が実を結んで、リモートワークができるようになったら、二子玉川からは離れるかもしれない。だけど、ここで過ごしている間は、楽しい思い出をできるだけたくさん作っていきたい。

「東京も悪くないなと思うと キャリーバックが軽くなったんだ」

東京を好きになった時、それでもこの土地を離れる時は、キャリーバックを引いて二子玉川駅から電車に乗りたい。そしたらこの歌詞の色も、きっとまた濃くなるだろう。

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2曲目は高松遠征を思い出したし、3曲目は幌平橋で弾いた日のことを思い出した。やっぱり私にとって、ボイガルの楽曲は思い出だらけだ。

ライブは、その楽曲たちを、今のシンゴさんが歌っているのを聴けるから、良い。思い出を抱きしめながら歩いていく姿や、哀しみを吸収した上で太陽みたいに笑う姿に、めちゃくちゃ憧れる。

私の中の思い出も大事にしながら、現在進行形のボイガルを、タイミングがあったときに見に行けたらなと思う。私は私の道を歩いてく。

最後にやってた新曲が、めちゃくちゃ良かった。
帰ってきた場所が二子玉川で嬉しくなった
ホームから見た河川敷と夜空も良い
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